米国で世界初の眼球・顔移植報告 事故でけが、1年定着も視力なし
【ワシントン共同】米ニューヨーク大の医療チームは9日、事故で顔に大けがをし、左目も失った40代男性に、眼球と顔の大半を移植する世界初の手術を実施したと米医師会雑誌で報告した。1年余り経過を見守ったが物が見えるようにはならなかった。ただ免疫拒絶はなく、正常な眼圧や血流は維持されている。チームは視力回復も可能な移植法の開発に向けた一歩になったと評価した。
黒目の部分にある透明な角膜の移植は多数実施されてきた。だが眼球となると複雑な組織を維持し、脳への情報伝達も回復させる必要があり、難度は格段に上がる。
患者はアーロン・ジェームズさん。2021年、電線工事中に高圧線が顔に接触し、鼻や唇、皮膚や表情筋など顔の広範囲が損傷。左目も摘出した。傷口を閉じ、皮膚を移植する治療を受けたが生活に支障が多く、顔と目の移植を決めた。
23年5月、脳死の30代男性が提供者となり、右目の周り以外の顔面から胸元までを血管や神経ごと縫い合わせる手術を受けた。左目と周辺の組織もはめ込み、目と脳を結ぶ神経を接続。回復を促すため、接続部に骨髄由来の幹細胞も注入した。
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