半導体産業の集積効果は11兆1900億円 熊本県内、31年までの10年間で TSMC第2工場を考慮 九州FGが新試算
九州フィナンシャルグループ(FG)は5日、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県菊陽町進出に伴う半導体関連産業の集積が県内にもたらす経済波及効果が、2022年から31年までの10年間で約11兆1900億円に上る試算を発表した。
九州FGは23年8月、集積に伴う経済波及効果を10年間で約6兆8500億円と公表していた。その時点ではTSMC第1工場の稼働のみを考慮。今回は隣接する第2工場の建設・稼働による効果を付け加えた。TSMCのサプライチェーン(供給網)に地場企業が参入するハードルの高さも反映させたが、半導体受託生産で世界一のシェアを誇る企業の影響力が全体を押し上げた。
10年間の経済波及効果の内訳は、進出企業の土地造成、工場建設などを含む「投資」が3兆6577億円で、「生産」が7兆5343億円となった。生産については、主要な進出企業が本格稼働を始める30年以降の2年間は、年1兆6944億円ずつに増大する。
進出する企業は171社あると見込み、23年8月の公表時よりも81社増えた。
熊本市西区の九州FG本社で記者会見した笠原慶久社長は「この試算を実現するには、地場企業の主体的な投資や人材育成が必要」と指摘。「TSMCの供給網に入りたい企業を(金融機関として)徹底的に応援する」と述べ、今年4月から3カ年の中期経営計画で掲げた「50社の参入」の実現に意欲を示した。
経済波及効果は九州FG、その傘下の肥後銀行、地方経済総合研究所の情報を基に算出した。(田代智也)
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