一庶民キリシタンの物語 人間の尊厳とはなにか <細川キリシタン群像/稲葉継陽⑳>

熊本日日新聞 2024年8月21日 06:05
寛永18年9月2日付金川惣左衛門上申書。左下には彼自身のサイン(花押)も見える。宛所は担当奉行の乃美市郎兵衛・佐和市兵衛。矢印以下で、「余りなけかしく存候ゆへ、やくニ立申まてニ前かとのきりしたんニ立かへり、相はて可申覚悟御座候」と述べる=公益財団法人永青文庫所蔵。

 最終回でどうしても紹介したい一庶民キリシタンの物語がある。主人公は寛永18(1641)年に36歳で母、弟、妹らとともに誅伐[ちゅうばつ]された金川惣左衛門という男である。  彼は下級の武家奉公人であったが、熊本で密告に遭って収監され、こ...

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