TSMC財団と熊本大、菊陽町の健康長寿へ協力 プロジェクト発足、具体策検討へ
台湾積体電路製造(TSMC)は19日、TSMC慈善財団が熊本大などと共同で、半導体工場が立地する菊陽町の町民を対象にした「健康長寿プロジェクト」に取り組むと発表した。関係者が17~18日、具体的な検討のため大学や菊陽町を訪れた。
TSMCによると、日本で健康長寿に関する取り組みを進めるのは初めて。台湾では、高齢者支援で企業と病院、地域社会による「3者モデル」を既に導入している。財団が資金を拠出し、1人暮らしの高齢者に食事の配送サービスを提供している。
17日に熊本大を訪れた財団のブラッド・ペンCEOらは「3者モデルにはボランティアとしてTSMC従業員も加わっており、やりがいにもつながっている」と説明し、大学側から熊本県内の高齢化の現状についての報告を聞いた。
小川久雄学長は「日本は出生率が低下し、健康長寿は社会を維持するためにきわめて重要。プロジェクトの成功は日本だけでなく高齢化に直面する他国にも利益をもたらす」と述べた。
プロジェクトに参加する国立長寿医療研究センター(愛知県)の荒井秀典理事長は「われわれの調査で九州ではフレイル(虚弱)の割合が多い。熊本県の健康寿命を上げるため、ICT(情報通信技術)も活用しながら取り組みたい」との方針を示した。
センターや台湾の陽明交通大は、栄養面や運動面の指導を通じて認知症やフレイルを予防する研究を先行して進めており、今後、プロジェクトでの具体的な内容を検討する。
関係者は18日、プロジェクトで使用を想定する菊陽町総合体育館を訪れ、体操やレクリエーションで介護予防を目指す「杉並台ふれあいサロン」の活動を視察した。参加者の平均年齢が84歳と聞いた財団の張淑芬会長は「みなさんを見ていると、先ほど聞いた平均年齢よりも若く見える。このプロジェクトが台日交流の場になることを祈る」と話した。(横川千夏、草野太一)
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