農林水産物の九州輸出額、過去最高に 23年は1559億円 アジア中心に市場拡大 九州農業レポート
九州農政局は16日、管内の農業情勢をまとめた「見たい!知りたい!九州農業」(九州農業レポート)を公表した。2023年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比6・5%増の1559億円と3年連続で過去最高を更新。農政局は新興国の経済成長や人口増加を挙げ、「アジアを中心に市場が拡大し、日本産の需要が高まっている」と分析している。
23年に長崎と門司の両税関を経由した産品の輸出額を集計した。内訳は、農産物が前年比15・5%増の799億円。水産物が0・9%減の547億円、林産物が3・2%減の213億円と続いた。農産物の主な品目は、アルコール飲料を含む加工食品が前年比23・8%増の375億円で、全体の半数を占めた。畜産品は5・0%増の230億円。
輸出先は中国が367億円でトップ。ただ、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に反発した日本産水産物の輸入停止措置が影響し、前年より3・7%減少した。韓国や台湾、米国への輸出額は14~26%増加。九州農政局は国内需要に応じた生産に加えて、輸出拡大を図ることが農業の生産基盤を維持する上で重要と指摘した。
農水省は、輸出に取り組む生産者や事業者を支援する「農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)」を展開。JA熊本経済連などは関連の補助事業を活用し、イチゴとメロンについて、外国人が好む品種の導入や輸出先の残留農薬規制に対応できる代替農薬の検討を進めている。
県別の輸出額は示していないが、熊本県の独自集計によると、県内の22年度の主な輸出品目は木材が33億4千万円で最も多かった。ブリやマダイといった水産物が27億7千万円、牛肉は27億3千万円だった。主な輸出先は中国、韓国、米国、香港など。
22年の九州の農業産出額は、1・7%増の1兆8208億円で2年連続の増加。畜産の割合が高いのが特徴で、全体の49・3%を占める8978億円だった。県別では、熊本の算出額は3512億円で昨年と同じ全国5位。全国上位10道県に、鹿児島(2位)と宮崎(6位)も入った。
県内の産出額を20年前と比較すると、肉用牛が2倍の452億円、トマトが39・3%増の376億円と大きく伸びた。コメは277億円でほぼ半減した。葉タバコやイ草、畳表も6~7割数字を減らしている。(馬場正広)
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