<読者の皆さんへ>政治のやせ細った姿
雨雲に覆われる日が続きましたが、向こう1週間は晴れ間も出そうです。ただ、4年前に球磨川流域を襲った豪雨をはじめ、7月はまとまった雨が降るケースが多く、まだ警戒を解けません。少しでも不安があれば、空振りを気にせず明るいうちに避難してください。
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6月27日付に「夏休み廃止・短縮 60%希望」の記事を載せました。貧困問題に取り組む認定NPO法人の調査結果です。小中学生を抱える困窮世帯の6割が、子どもの夏休みは「なくて良い」「今より短い方が良い」と考えているといいます。
最も多かった理由が「生活費がかかる」。給食がないため家で昼食を用意する必要があり、光熱費もかかることが背景にあるというのです。「特別な体験をさせる経済的余裕がない」という理由もありました。子どもたちにとっては待ち遠しいはずの夏休みですが…。
困窮世帯が「夏休みはいらない」とまで追い詰められている傍らで、自分たちの襟すら正せない政治のやせ細った姿にがっかりします。6月に閉会した「裏金国会」です。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が出発点だったにもかかわらず、成立した改正政治資金規正法は抜け穴だらけです。
例えば、パーティー券購入者名の公表基準額は「20万円超」から「5万円超」に引き下げましたが、開催回数に制限はありません。回数を増やせば、購入者名を伏せて従来と同程度の資金集めは可能です。公明党の5万円超案をのんだ岸田文雄首相への反発も、からくりを知れば「1回で大金を集めにくくなった」という愚痴に聞こえます。
パーティーという〝錬金術〟で記録の残らない大金をつくった議員たち。その裏金は何に使われたのか-。岸田首相は全容を解明せずに法改正を急ぎました。案の定、「政治にかかるカネをどう透明化するか」「カネがかからない政治をどう実現するか」といった背骨の議論は深まりませんでした。
規正法は第1条で「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」とうたっています。自民党内では岸田降ろしの動きが加速していますが、誰が首相になろうと、有権者にはこの議論を我慢強く見守る体力が求められそうです。
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