「ふるさとの森基金の塔」薄れる存在感 熊本市の緑化への寄付金募るも、募金額は年間1万円…市はふるさと納税に期待
熊本市の緑の保全を目的に、市民から寄付金を募る「ふるさとの森基金の塔」が、今年で設置から35年を迎えた。記録が残る2018年以降、募金額は年間1万円ほどと低迷しており、存在感が薄れている。緑を守り、育てる「森の都」づくりを進める市は今後、ふるさと納税なども活用しながら、貴重な事業資金の獲得を図っていく考えだ。
基金の塔は1990年6月に誕生。緑と木をイメージした高さ180センチの木製の募金箱で、当初は市役所1階ロビー、熊本城など6カ所に設置されていた。現在は熊本市動植物園と、市総合体育館青年会館の2カ所に残るのみ。市役所ロビーの塔は今年3月に撤去され、庁舎7階の「みどり政策課」窓口にある小さな募金箱に姿を変えた。鶴屋百貨店にあった塔も、地下の駐車場料金精算所に設置した募金箱に変更された。
同課によると、集まった寄付は毎年11月に集計。「市ふるさとの森基金」に納めている。基金の使途は、市電の軌道内に芝生を植える「市電緑のじゅうたん」、市街地周辺に残る緑地の維持など三つの事業に大別される。
2022年度には3事業に一般会計から計1億1048万円を支出。うち3160万円を基金から繰り入れた。23年度も4124万円を充当した。ただ、22年度の基金残高は3億3808万円と、ピークの6億670万円(13年度)から減少が続く。
「緑のじゅうたん」事業では、これまでに3億9791万円かけ、熊本駅前-田崎橋、辛島町-水道町の一部、計約1キロを整備。維持には毎年約1300万円かかるといい、基金獲得の重要性は増している。
市みどり政策課は収入増を目指し、寄付する人が使途を選べるふるさと納税に着目。22年度からふるさと納税の使い道に「熊本市の自然環境を豊かに」という項目を盛り込むと、初年度は222万円、23年度は2399万円が集まった。同課は「市内に住んでいても、返礼品不要の寄付として市へふるさと納税できる。市民に協力を募りたい」と期待を寄せる。
長年、熊本市の緑化事業を支えてきた、ふるさとの森基金。時代とともに寄付の手段は変わっても、熊本の緑を守り、育てる役割はこれからも変わらず必要と言えそうだ。(諌山美羽)
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