「ふるさと納税」少子化対策に活用 高森町 入学支援金や奨学金の返還免除、住宅購入補助など幅広く
出生数の落ち込みに歯止めがかからない中、高森町では、少子化対策を次々と打ち出している。入学時の支援金や奨学金の返還免除といった子育て支援から、住宅の購入費補助など子育て世代の移住策まで幅広いメニューを用意する。2024年度の事業費は総額1億340万円を計上。財源には、好調なふるさと納税を活用している。
町住民福祉課によると、23年度の出生数は20人で、13年度の42人から半減。21年度までは毎年増減していたが、22年度以降初めて2年連続で減った。「出生数の維持は喫緊の課題」(同課)として、23年度から支援策の充実に注力する。
小学校のみ5万円だった入学時の支援金は中学で10万円、高校で15万円に拡大した。1人約3万円~8万円必要な小中学校の修学旅行費は全額助成する。保育園などを利用せず自宅で育児する場合は、就学前まで月1万5千円を支給する。
本年度には町出身者のUターンや定住を促そうと、奨学金の返還免除制度を開始。町は希望者に、高校は月2万5千円、大学や短大は月5万円を無利子で貸し付けているが、卒業後に町に住民票を置いて就業した期間は返還を免除する。貸し付けは最大7年間で1人330万円となり、条件を満たせば全額免除する。
子育て世代の移住促進では住居の購入を補助。新築で上限500万円、中古で同100万円を交付する。
こうした事業を支えるのは好調なふるさと納税だ。22年度の寄付額は県内トップの25億7644万円で、「子育て支援」「人材育成」など目的別に設置している基金に一部を繰り入れて活用している。少子化対策事業費約1億円のうち7260万円は基金から充当しており、ふるさと納税が財源という。
町は事業継続も狙い、積極的に基金を積み増している。財政調整、特定目的の両基金の積立額は23年度決算で、10年前から約23億円増の37億6033万円を見込む。「少子化対策の効果が出るのは時間がかかるが、町民が安心して子どもを生み、育てられる環境整備を進めたい」としている。(中島忠道)
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