水俣病「原点の地」…百間排水口樋門を新調へ 県、補正予算案に1100万円計上 24年度末までに設置終了へ
![百間排水口の老朽化した樋門をクレーン車で取り外す作業員ら=2023年8月、水俣市](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2024-06/IP240605CTS000001000_01.jpg?itok=ylYs-ggL)
水俣病の原因企業チッソがメチル水銀を含む排水を垂れ流していた百間[ひゃっけん]排水口に関し、県は新しい樋門を新調して取り付ける。関連費用として1100万円を、2024年度一般会計補正予算案に盛り込んだ。
水俣病の「原点の地」とも言われる、水俣市汐見町4基の樋門(縦2・95メートル、横2・4メートル、重さ約1トン)は木製で、老朽化のため内部が腐食していた。
市が昨年6月に撤去しようとしたが、患者団体などが反発。県が「水俣病の歴史と教訓を伝えるのは重要」(蒲島郁夫前知事)と理解を示して仲介に入り、管理も市から引き継いだ。県は、修繕費が高額になることや過去にも取り換えた経緯を考慮し、同じサイズの木製の樋門を新調することで団体側と合意した。
新調する4基は24年度末までに設置を終える予定。来訪者が拡張現実(AR)技術を使い、排水を流していた当時の雰囲気を疑似体験できる取り組みも実施する。現地の案内板にあるQRコードを読み込み、映像を見るイメージだという。
取り外しを終えた古い樋門は県環境センターに保管中。保存するか処分するかは、今後詰める。
水俣病の教訓を後世に継承していく水俣市の取り組みも支援。市立水俣病資料館で放映する語り部インタビューの映像制作と、資料館ホームページの多言語化に対する補助費として、補正予算案に合わせて500万円を計上した。(小山智史)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツTHEMES
水俣病-
特殊疾病対策室長が異動 環境省発表 水俣病懇談で患者団体の発言遮断
熊本日日新聞 -
【追想メモリアル】 「天命」水俣再生に奔走 元水俣市長・吉井正澄さん 5月31日死去 92歳
熊本日日新聞 -
【水俣病 再懇談へ】全ての被害者を救済する新たな枠組みを 水俣病不知火患者会・元島市朗事務局長(69)
熊本日日新聞 -
水俣病再懇談、7月8日、10日、11日の計3日 伊藤環境相が8団体と面会、「発言時間に制限せず対応」
熊本日日新聞 -
チッソの債務、4年連続で返済を全額猶予 5・4億円 国と熊本県が決定
熊本日日新聞 -
チッソ、水俣製造所に重点投資へ 改善計画で事業再編
熊本日日新聞 -
【水俣病、再懇談へ】症状の進行に応じ償うべき 水俣病胎児性小児性患者・家族・支援者の会事務局長の加藤タケ子さん(73)
熊本日日新聞 -
水俣病患者団体の発言遮断「その場で何も言わず反省」 木村知事インタビュー 再懇談「患者団体の信頼取り戻す場に」
熊本日日新聞 -
マイク切り、水俣市の見解は 水俣市議会【市政記者席】
熊本日日新聞 -
水俣病患者と再懇談までに省内横断組織を調整 伊藤環境相、人事発表で
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
「すべての道は熊本に通じる」とは、蒲島郁夫前知事が熊本県内の道路整備に向けた意気込みを語る際に使ってきたフレーズ。地域高規格道路などの骨格的な道路や鉄道網は、地域・産業の活性化はもちろん大規模災害時の重要性も注目されています。連載企画「移動の足を考える」では、熊本県内の〝足〟の現在の姿を紹介し、未来の形を考えます。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指す記者と一緒に楽しく学んでいきましょう。
※次回は「相続・贈与は難しい」前編。7月12日(金)に更新予定です。