「熊本のステータスシンボル」鶴屋百貨店の紙袋 有料化スタートで「同じデザインのエコバッグを作って」 熊日読者の声を届けると…
鶴屋百貨店(熊本市中央区)が3月1日から紙製手提げ袋を有料化した。紙の使用量を減らし環境保護につなげる目的だ。来店客のマイバッグ持参を促す取り組みの一方、「紙袋のデザインでエコバッグを作ってはどうか」との提案が、熊日に寄せられた。首都圏では高級スーパー独自のエコバッグが人気。鶴屋に販売の可能性を聞いた。
鶴屋は1952年創業。白地に赤と紺の2色のラインが入った紙袋は、少なくとも半世紀前には登場したという。多くの熊本県民が親しみを感じ、50代の同僚はこの紙袋を手にすると心躍り、「鶴屋ラララ♪」と思わずくちずさむそうだ。
エコバッグ販売を期待する声の主で、熊本市中央区の元公務員、彌山芳之さん(68)も「鶴屋の紙袋はステータスシンボル」と言い切る。「鶴屋の袋から品物を出すと贈り先に喜ばれる。デザインそのままのバッグなら土産品としてもヒットしそう」。同店の買い物客からも「鶴屋のロゴが入っているといい気分で持ち歩けそう」「使いやすく頑丈な物が欲しい」など、エコバッグへの期待感が聞かれた。
全国では紙袋のデザインをエコバッグに採用した例がある。そごう・西武(東京)は、紙袋有料化から約1年後の2021年11月、数量限定で販売し、ほぼ即完売。担当者は「紙袋のデザインに思い入れのあるお客さまは多い」と話す。
いざ鶴屋へ。利用者の期待をぶつけると、前向きな答えが返ってきた。
広報担当の入江光彦さん(33)は「実は1年前からひそかに計画を進めているところです」とにっこり。22~88円に設定した紙袋の有料化に対する苦情は少なく、「同じデザインのエコバッグが欲しい」との声が寄せられているという。
しかし、エコバッグ販売では苦い経験もある。20年12月、レジ袋有料化に合わせて、紺地に熊本城や阿蘇などを金色で描いたバッグを販売。21年9月には、友の会員ら希望者先着3万人に、えんじ色のバッグを無料配布した。いずれも評判は芳しくなく「紙袋とは全く異なるデザインが常連のお客さまには受け入れられなかった」と入江さんは振り返る。
今回は、豊富な種類のバッグを販売する高級スーパー「紀ノ国屋」(東京)を参考にしながら、デザインを練り上げている。現時点での候補は約20パターン。ポイントは「鶴屋らしさ」で、紙袋のデザインを基調に同店のロゴも採用する方針だ。大きさは紙袋の「中」サイズ(縦32センチ、横31・8センチ、幅11センチ)程度。価格は500~3千円で検討し、来年3月までの発売を目指す。
入江さんは「鶴屋の紙袋は熊本県民のアイデンティティーと言ってもらえる。当店以外の買い物でも使われ、幅広い年代に受け入れられる商品にしたい」と張り切る。(東有咲)
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