「木製カー」で公道快走 熊本・氷川町の家具職人が製作 「少年時代からの夢かなった」
氷川町宮原のオーダー家具工房「木工房ひのかわ」2代目の家具職人、古島隆さん(76)が、公道で走行できる木製のマイクロカー(原動機付き四輪車)を製作した。既に町からナンバープレートの交付を受け、工房周辺で運転した。古島さんは「少年時代からの夢がようやくかなった」と笑顔を見せる。
1人乗りのマイクロカーは、道路交通法で自動車に区分されるため運転には普通免許が必要だが、道路運送車両法上は原付き自転車扱いで車検は不要。使用するには市町村に届け出る。
古島さんは、16年前に購入したマイクロカーキットをベースに製作。空冷2サイクルエンジンで、排気量は50㏄。重さ約200キロ。FRP(繊維強化プラスチック)だったキットのボディーは、町内産のサワラ材とアスナロ材に変更した。軽くて伸縮率が小さいため素材に適しているといい、家具にも使うオイルでコーティングした。
仕事が多忙で、キットは手付かずのまま倉庫に保管していたが、一昨年に息子の隆一さん(42)に経営を譲り、時間に余裕ができて製作することにした。今年1月に始め、約5カ月で完成させたという。
時速60キロまで加速でき、これまでに工房周辺を数キロ走行。軽快なエンジン音を響かせ、マフラーからうっすらと白煙を上げた。
古島さんは小学生の頃から車好きで、父親の木工所でよく遊んだという。付近の道路は当時は未舗装で、オート三輪が走っていた時代。「木でおもちゃの船や銃を作れても、人が乗れる車を作るのは夢物語だと思っていた」と振り返る。
5月1日に取得したナンバーは「・70」。70年越しにかなえた夢への思いを重ねた。100キロ程度走らせた後、非売品としてショールームで展示する考えで、古島さんは「見た人が、木工の楽しさや可能性を感じてくれたらうれしい」と話した。(上島諒)
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツNEWS LIST
熊本のニュース-
2024~25年 熊本ヴォルターズ選手紹介 バスケットボールBリーグ
熊本日日新聞 -
「イチ推し」やっぱり熊本城 「ニッポンお城図鑑」番外編 熊日電子版・読者アンケート 2位姫路城…
熊本日日新聞 -
若手中心に戦力補強、チーム一丸で悲願のB1へ【熊本ヴォルターズ開幕特集】
熊本日日新聞 -
「豊富な運動量で優位に」 ジェフリー・ヒロナカHCに聞く【熊本ヴォルターズ開幕特集】
熊本日日新聞 -
城はロマンに満ちて面白い 連載「お城図鑑」執筆者・濱口和久氏
熊本日日新聞 -
熊本と八代交通圏、タクシー供給過剰地域の指定解除 新規参入や増車可能に
熊本日日新聞 -
緑川ゆきさんに第3回熊日マンガ文化賞 「夏目友人帳」妖怪との交流、繊細に描く
熊本日日新聞 -
【独自】熊本に新球場「官民分担で」 アマ12団体が独自構想、県に提言へ 整備費110億円想定、一部を民間が負担
熊本日日新聞 -
熊本市の7~9月、猛暑日数や平均・最高気温で記録更新 県内12地点でも史上最高気温 熱中症最多、農業や鉄道にも打撃
熊本日日新聞 -
【つながる縁 モンゴル訪問記④】輸入頼みのタマネギ 北海道の団体が栽培支援
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
熊本都市圏の住民の間には、慢性化している交通渋滞への不満が強くあります。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出などでこの状況に拍車が掛かるとみられる中、「渋滞都市」から抜け出す取り組みが急務。その切り札とみられるのが公共交通機関の活性化です。連載企画「移動の足を考える」では、それぞれの交通機関の現状を紹介し、あるべき姿を模索します。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、しっかりした家計管理で安心して生活したい記者と一緒に、楽しく学んでいきましょう。
※次回は「多重債務編」。10月4日(金)に更新予定です。