「木製カー」で公道快走 熊本・氷川町の家具職人が製作 「少年時代からの夢かなった」

熊本日日新聞 2024年5月31日 18:31
木製マイクロカーを製作し、運転席に乗り込む古島隆さん=5月20日、氷川町
木製マイクロカーを製作し、運転席に乗り込む古島隆さん=5月20日、氷川町

 氷川町宮原のオーダー家具工房「木工房ひのかわ」2代目の家具職人、古島隆さん(76)が、公道で走行できる木製のマイクロカー(原動機付き四輪車)を製作した。既に町からナンバープレートの交付を受け、工房周辺で運転した。古島さんは「少年時代からの夢がようやくかなった」と笑顔を見せる。

 1人乗りのマイクロカーは、道路交通法で自動車に区分されるため運転には普通免許が必要だが、道路運送車両法上は原付き自転車扱いで車検は不要。使用するには市町村に届け出る。

 古島さんは、16年前に購入したマイクロカーキットをベースに製作。空冷2サイクルエンジンで、排気量は50㏄。重さ約200キロ。FRP(繊維強化プラスチック)だったキットのボディーは、町内産のサワラ材とアスナロ材に変更した。軽くて伸縮率が小さいため素材に適しているといい、家具にも使うオイルでコーティングした。

古島隆さんが製作した木製マイクロカーの運転席=5月20日、氷川町
古島隆さんが製作した木製マイクロカーの運転席=5月20日、氷川町

 仕事が多忙で、キットは手付かずのまま倉庫に保管していたが、一昨年に息子の隆一さん(42)に経営を譲り、時間に余裕ができて製作することにした。今年1月に始め、約5カ月で完成させたという。

 時速60キロまで加速でき、これまでに工房周辺を数キロ走行。軽快なエンジン音を響かせ、マフラーからうっすらと白煙を上げた。

 古島さんは小学生の頃から車好きで、父親の木工所でよく遊んだという。付近の道路は当時は未舗装で、オート三輪が走っていた時代。「木でおもちゃの船や銃を作れても、人が乗れる車を作るのは夢物語だと思っていた」と振り返る。

 5月1日に取得したナンバーは「・70」。70年越しにかなえた夢への思いを重ねた。100キロ程度走らせた後、非売品としてショールームで展示する考えで、古島さんは「見た人が、木工の楽しさや可能性を感じてくれたらうれしい」と話した。(上島諒)

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