熊本競輪場、24年夏に再開…住民ら歓迎と懸念 地域防災、にぎわい創出の拠点に 夜間レース、光害や騒音など心配

熊本日日新聞 2024年3月30日 19:37
7月20日の競技再開が決まっている熊本競輪場。熊本市の中核施設として、「地域に開かれた施設であってほしい」と話す砂取校区第5町内自治会長の平嘉隆さん=3月、熊本市中央区
7月20日の競技再開が決まっている熊本競輪場。熊本市の中核施設として、「地域に開かれた施設であってほしい」と話す砂取校区第5町内自治会長の平嘉隆さん=3月、熊本市中央区

 2016年の熊本地震で被災し、再建が進む熊本市の熊本競輪場(中央区)のレースが今夏、再開される。一部が近隣住民の避難所としても活用された施設の復旧に、地元住民は「災害時に心強い」「地域のにぎわいにつながる」と歓迎する一方、夜間レース開催に伴う光害や騒音など生活環境に及ぼす影響を懸念する声もある。

 「ずっと正門が閉まって、人通りも少なくなった。競技再開はうれしいね」。競輪場通り商栄会長で、近くで弁当店を営む中村浩光さん(64)は期待する。大きなレース開催時は県外からも観戦客が来たといい、「お客さんが増えて、地域が潤ってほしい」と話す。

 競輪場は熊本地震で競走路(バンク)に亀裂が入ったほか、スタンドなど大半の施設が損壊した。市は20年に有識者による懇談会を設けて再建の妥当性を検証。21年、大西市長が再建の方針を示した。

 市競輪事務所によると、再建の総事業費は53億2400万円。バンクの新設工事が4月下旬、メインスタンドの耐震工事の作業は5月上旬に終わる計画で、スタンドでの場外車券販売開始を6月中旬に見込み、競技は7月20日に再開する予定だ。

 再建では、地域住民が利用できる施設の利便性をこれまで通り確保したほか、防災機能を高めた。24年度中に改修するサービスセンターには、会議室や子どもが遊べるスペースがあり、プールも再開する。地域の夏祭りを開催してきた駐車場は、熊本地震発生時に車中泊の近隣住民を受け入れたことから、センターに非常用食料を備蓄するスペースも設ける。バンク中央に調整池を造ることで、周辺の冠水対策も施した。

 砂取校区第5町内の平嘉隆自治会長(81)は「地域の要望をかなり聞いてもらえた。今まで以上に、地域に開かれ、安心できる施設になる」と喜ぶ。

 ただ、再開後の収益改善策として開催が決まった「ミッドナイト競輪」が、新たな懸念となっている。午後9時以降に無観客で開く計画。周辺住民からは、夜間開催に伴う音や光を心配する声が上がる。これに対し、市競輪事務所は「レースを開催できる最小限の照明や音で実施するなど、配慮を徹底する」と話す。

 施設全ての整備を終えるグランドオープンは、25年度になる予定。再出発に向け、4月から入場料を無料とする市競輪事務所は「地域や市民に愛される施設を目指す。まずは気軽に競輪を見に来てほしい」。

 熊本地震後、存廃の議論を経て再建、再開の道をたどる熊本競輪場。公営ギャンブルである一方、地域の防災、にぎわい創出の拠点としての役割も期待される。市の中核施設として、運営再開後もきめ細かな情報公開、住民との対話が求められそうだ。(九重陽平)

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