新年快楽、恭喜発財!現地記者が台湾の春節を紹介!【台湾ってこんなトコVol.7】

熊本日日新聞 2024年2月27日 19:00
新年快楽、恭喜発財!現地記者が台湾の春節を紹介!【台湾ってこんなトコVol.7】

■台湾の春節の雰囲気をお伝えします!

2024年の春節(旧正月)を迎えた台湾。

台湾人は新暦の正月も旧暦の正月も祝いますが、花火が打ち上げられたり、コンサートが開かれたりと、にぎやかな雰囲気の下で迎える新暦の正月と比べ、旧暦の正月は伝統的な風習や文化を重んじます。

正月の雰囲気をより色濃く残しているとも言え、これを中国語では「年味」と呼びます。

春節は旧暦の1月1日(大年初一)から1月15日(元宵節)の期間を指します。

台湾は日本のように新暦の年末年始に連休はなく、春節に合わせて新年休暇を過ごします。

連載の第7回は、すぱいすの読者の皆さんに台湾の春節の雰囲気をお伝えしたいと思います!

■2024年の春節はいつ?期間が毎年異なる新年休暇

今年(2024年)の新年休暇は2月8~14日でした。旧暦の大みそか(除夕)の前日である小年夜から、旧暦の1月5日(大年初五)までに当たります。

実は台湾の新年休暇は法律では4日間しかありません。

除夕から旧暦の1月3日(大年初三)までです。しかし、ふるさとで春節を過ごす市民が帰省しやすいよう、政府は2020年から、小年夜が平日の場合は休日に調整し、休暇明け最初の土曜日を代理出勤日にすると発表しました。

このほか、除夕から大年初三の期間に土曜日と日曜日がある場合は休暇の期間を延長することになっています。

このため2023年の新年休暇は10日間ありましたが、今年は7日間と短くなり、2025年は9日間と再び長くなります。

■最も正月の雰囲気を感じる1日―除夕―

台湾人は新年休暇に海外旅行に行く予定がなければ、大多数が除夕までにふるさとに帰り旧正月を過ごします。

除夕はどの家も忙しい一日になります。

朝から大掃除をして、春聯(春節に玄関などに張る、縁起の良い言葉が書かれた赤い紙)を張り、先祖を祭り、夜になると「年夜飯(年越しの食事、囲炉とも言います)」を食べます。最も「年味」のある一日になるのです!

年夜飯を食べる前には先祖に料理をお供えし、順番に線香を上げます=2月9日、桃園(NNA撮影)
年夜飯を食べる前には先祖に料理をお供えし、順番に線香を上げます=2月9日、桃園(NNA撮影)

私の家では、除夕の当日は親が朝早くから食材を買いに出かけたり、先祖にお供えする花や線香、果物などを準備したりします。だいたいお昼ごろに親戚の家に集まり、台所でおしゃべりをしながら、年夜飯の準備をします。

旧正月用の食材を購入する市民らでにぎわう市場=2月8日、桃園(NNA撮影)
旧正月用の食材を購入する市民らでにぎわう市場=2月8日、桃園(NNA撮影)
旧暦の大みそかの夕方を迎え、テーブルに並べられた年菜。年長者は早く食べようと促します=2月9日、桃園(NNA撮影)
旧暦の大みそかの夕方を迎え、テーブルに並べられた年菜。年長者は早く食べようと促します=2月9日、桃園(NNA撮影)

例えば、年菜に魚料理を欠かすことはできません。

年菜に欠かせない魚料理=2月9日、桃園(NNA撮影)
年菜に欠かせない魚料理=2月9日、桃園(NNA撮影)

中国語には「年年有余」という言葉があり、これは「毎年ゆとりがあること」を意味し、縁起の良い言葉として好まれます。

この「余」と同じ発音である「魚」をかけているわけですが、その日のうちに魚料理を全て食べてはならず、必ず「余る」ようにしなければならない、などルールがあります。

■ホテルにレストラン、コンビニ!さまざまな「年菜」を販売
 
現在は年菜を家庭で作るのではなく、購入する人も多く、春節の1カ月ほど前になると、ホテルやレストランなどが競うように年菜の予約販売をアピールします。

量販店には冷凍の年菜を販売するコーナーが設けられていました=1月20日、桃園(NNA撮影)
量販店には冷凍の年菜を販売するコーナーが設けられていました=1月20日、桃園(NNA撮影)

最近ではコンビニが有名店とコラボした「年菜カタログ」を用意しており、消費者はコンビニで注文することができます。料理はコースではなく単品でも注文でき、消費者にとっての利便性は高いと言えそうです。

コンビニの「年菜カタログ」=2月15日、桃園(NNA撮影)
コンビニの「年菜カタログ」=2月15日、桃園(NNA撮影)

■除夕には、子どもや親に「圧歳銭(お年玉)」を

親戚の子どもや親にあげるために用意した紅包=2月9日、桃園(NNA撮影)
親戚の子どもや親にあげるために用意した紅包=2月9日、桃園(NNA撮影)

除夕には、大人は「圧歳銭(お年玉)」を子どもや親にあげます。

圧歳銭の準備もおろそかにはできません。

お金を前もって新札に変えるほか、金額は600台湾元(約2840円)、1200元、3600元といったように偶数でなくてはなりません。ただし、偶数でも4は「死」に発音が近いためだめです。

そしてお金は赤色の封筒に入れます。台湾では白色の封筒はお葬式の際などに用いられ、めでたい場面で使うことはありません。

新年快楽、恭喜発財!現地記者が台湾の春節を紹介!【台湾ってこんなトコVol.7】

食事とお酒を楽しんだ後は、みんなでおしゃべりをし、深夜までテーブルゲームを楽しんだり、マージャンを打ったりします。

しかし、除夕の夜はそれだけでは終わりません。午前零時に爆竹を鳴らし、年獣(伝説で年越し前に現れる怪物)を追い払う習わしがあります。

■伝統的な春節の過ごし方
 
伝統的な習俗として「除夕囲炉、初一走春、初二回娘家、初四迎神、初五開工」という言い方があります。

除夕に家族で食事を楽しんだ後、旧暦の1月1日(大年初一)は新しい服を着て出かけます。

「走」は歩くことを意味し、この日は家族と一緒に廟(びょう)にお参りしたり、親戚や友人に新年のあいさつをしたりします。

旧暦の1月1日、台南市の廟には大勢の家族連れらが参拝に訪れていました=2月10日(NNA撮影)
旧暦の1月1日、台南市の廟には大勢の家族連れらが参拝に訪れていました=2月10日(NNA撮影)
春節にはコーヒーテーブルにあめやお菓子を並べておく習慣があります。新年のあいさつに来たお客さんに振る舞います=2月9日、桃園(NNA撮影)
春節にはコーヒーテーブルにあめやお菓子を並べておく習慣があります。新年のあいさつに来たお客さんに振る舞います=2月9日、桃園(NNA撮影)
春節前、量販店にはあめやお菓子を販売するコーナーが設けられます=1月20日、桃園(NNA撮影)
春節前、量販店にはあめやお菓子を販売するコーナーが設けられます=1月20日、桃園(NNA撮影)

2日(大年初二)は結婚した女性が実家に戻る日、4日(大年初四)は民間信仰の中で神を迎える日とされています。

5日(大年初五)は仕事始めの一日です。多くのお店がこの日から営業を再開します。お店の前ではお供え物を用意し、爆竹を鳴らすなどして神を迎える儀式を行います。

新年休暇が終わり出勤再開となった2月15日、飲食店や小売店などは店先にお供え物を並べたり、爆竹を鳴らしたりして商売繁盛を願っていました=台北(NNA撮影)
新年休暇が終わり出勤再開となった2月15日、飲食店や小売店などは店先にお供え物を並べたり、爆竹を鳴らしたりして商売繁盛を願っていました=台北(NNA撮影)

■新年のあいさつに用いる「吉祥話」

新年のあいさつでは「新年快楽(シン・ニエン・クァイ・ラー)」と「恭喜発財(ゴン・シー・ファー・ツァイ)」が最もよく使われる「吉祥話(縁起の良いあいさつ)」です。それぞれ「新年おめでとう」と「お金もうけができますように」という意味です。

このほかに、十二支にちなんだ吉祥話もあります。

春聯(春節に玄関などに張る、縁起の良い言葉が書かれた赤い紙)やグリーティングカードなどを書く際にはその年のえとにちなんだ成語を書きます。えとの発音に着想を得たものもありますが、いずれもめでたさを感じられるものとなっています。

■ランタンフェスティバルも!新年最初の満月の日「元宵節」

新年の休暇は数日しかありませんが、春節は新年最初の満月の日に当たる「元宵節」まで続きます。台湾では、元宵節には伝統的な習慣としてランタンをともし、「湯圓(もち米の粉で作るだんご状の食品)」を食べます。

元宵節には新北市で「平渓天灯節(スカイランタンフェスティバル)」や台南市で「塩水蜂炮(爆竹祭り)」などが行われますが、最も盛大なのは「台湾灯会(台湾ランタンフェスティバル)」でしょう。

春節期間中、赤いランタンがあちこちに掲げられていました=2月10日、台南(NNA撮影)
春節期間中、赤いランタンがあちこちに掲げられていました=2月10日、台南(NNA撮影)

台湾灯会は毎年順番に異なる都市で開催されます。メイン会場のランタンは元宵節に合わせて点灯され、会期の約2週間に大勢の人が訪れます。

今年の台湾灯会は、台南市で「龍耀台南」をテーマに3月10日まで開催。「龍耀」は、栄光などを意味し発音がよく似た「栄耀」から着想を得た言葉で、たつ年らしさを打ち出しています。

それでは最後に、新たな一年が幸福なものになるようにとの願いを込めた台湾語の吉祥話を、すぱいすの読者の皆さんにお伝えしたいと思います。福気『龍』総来!
 
もっと台湾を知りたい方に「NNA POWER ASIA 台湾」

 

<この記事を書いたのは>

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張成慧(チョウ・ナルエ)

NNA台湾編集部に勤める30代の台湾人女性。大学時代に交換留学生として日本に約1年間滞在して以来、日本が恋しく年に2回のペースで各地を訪ねています。旅やアート作品などを通じて、自身の感性が磨かれるものごとを見つけるのが好き。

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