永青文庫 「春画展」で最多入場 東日本大震災後は防潮林プロジェクト 元首相タッグで「原発ゼロ」訴え 会う度に財布から20万円 驚くべき記憶力の田中角栄さん 総理引き継ぎ 大秀才の宮沢喜一さん 〈細川護熙さんのあのころ〉

熊本日日新聞 2024年2月24日 05:00
1936(昭和11)年に建てられた旧細川侯爵邸。戦後の接収を経て、現在は公益財団法人和敬塾本館として限定的に公開されている=東京都文京区目白台
1936(昭和11)年に建てられた旧細川侯爵邸。戦後の接収を経て、現在は公益財団法人和敬塾本館として限定的に公開されている=東京都文京区目白台
旧細川侯爵邸(和敬塾本館)の玄関。和敬塾は外国人留学生を含む男子大学生の学生寮。本館は現在もセミナーなどさまざまな用途に使用されている
旧細川侯爵邸(和敬塾本館)の玄関。和敬塾は外国人留学生を含む男子大学生の学生寮。本館は現在もセミナーなどさまざまな用途に使用されている
1階テラスからの眺め。イギリスのチューダー・ゴシック様式の洋風の外観の内部に、床の間もある和室も備えていた
1階テラスからの眺め。イギリスのチューダー・ゴシック様式の洋風の外観の内部に、床の間もある和室も備えていた

(聞き手・宮下和也)

 -前に高校時代(学習院高等部)のお話をうかがいました。大学生の時までお祖父さん(護立氏)と一緒にお住まいになっていたのは、旧細川侯爵邸(現・公益財団法人和敬塾本館)ですか。

ネズミと一緒に住んだ青年時代

 いや、今の永青文庫の方に住んでいたんですよ。あの建物の4階の、上までごちゃごちゃにモノが詰め込まれて、ネズミの巣のようなところの一角を空けて、ネズミと一緒に住んでいました。本当に汚くて大変でした。

目白台の森に囲まれた永青文庫の建物=東京都文京区
目白台の森に囲まれた永青文庫の建物=東京都文京区

 -豪邸にお住まいだったと思ってましたが違った。永青文庫の建物はもともと細川家の家政所、事務所だった。本邸は戦後、連合軍に接収されたのですか。

 戦後はオランダ軍に接収されました。父が亡くなり、永青文庫の理事長を引き受けることになった時(2005年10月、護貞氏死去)、片付けるのが本当に大変だったんですよ。

 -今は外観も展示スペースもすてきな建物ですが、引き継いだ当時は。

 それはもうひどいものでした。とても中に人が入れるような…辛うじて廊下は入れるんだけど、2階から4階まで長持ちやら何やらでいっぱいでね。

 3階も4階も、高い天井いっぱいに荷物が詰め込まれていた。布団とか、脚の付いた大きなお膳とか。何百人分ですよ。それから食器。お客さんに出す、九曜の紋の付いたものです。じゅうたんもあったし、布団も、全部九曜の紋が付いている布団です。

 -今の永青文庫の建物にそういうものがいっぱい入っていた。

 私が引き継いだ時は、2階だけでほそぼそと展示をしていました。2階の一間と、それから中3階みたいな部屋がありますね。そこも大分ものが詰まっていたので、半分くらい使っていたのかな。3階4階は全く使えなくて、とても美術館という体裁ではありませんでした。

 まとまった展覧会ができるようになったのは、私が行ってからです。天井までものが詰まっているのを、何軒も古道具屋さんを呼んできて、トラックで持っていってもらいました。

 -当時の吉丸良治常務理事によると、書籍だけで段ボール240箱を神田の古書店に持ち込んだそうです。

 長持ちも20~30くらいあった。中にはそれこそ布団とか座布団とかじゅうたんとか。座布団だけでも相当な数でした。台所道具もそう。そんなものが全部、隣の和敬塾(旧細川本邸)の方からも運ばれて、詰め込まれていた。少しずつ仕分けして、きれいにするまで1年半くらい掛かったんじゃなかったかなあ。

 -永青文庫の保有する文物はまさに膨大なものだったのですね。

 膨大でしたが、あまり整理もされていませんでした。祖父はもともと財団法人にすることに乗り気じゃなかったんですが、父がだいぶ口説いて、昭和25年に何とか財団法人にしました。

「春画展」誰も引き受けないから引き受けた

 ものを片付けたあとは、公益財団法人にする作業がまた大変。永青文庫は制度改正後の公益財団法人の第1号だったんです。トップバッターですから、もう資料を山のように渡さなくちゃいけない。あれを出せこれを出せで、吉丸常務理事や税理士さんはとても苦労されました。まあ永青文庫も軌道に乗ってきたのは最近ですよ。ようやく。

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