医師過労死の遺族が提訴　神戸の法人側と院長に賠償請求

　神戸市東灘区の病院「甲南医療センター」の医師高島晨伍さん＝当時（２６）＝がうつ病を発症して自殺したのは長時間労働が原因だとして、母親ら遺族が２日、運営法人「甲南会」と男性院長に計約２億３千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

　訴状によると、高島さんは２０２０年４月から臨床研修医として勤務。２２年４月からは消化器内科の専攻医（旧後期研修医）として研修を受けながら診療していたが、うつ病を発症し、同年５月１７日に神戸市の自宅で自殺した。

　長時間の勤務に加え、上司の指示で学会発表の準備にも追われて、過重な精神的負荷を受けていたと主張。病院が労働時間を適正に管理せず、院長らは高島さんが死亡前、長時間労働に従事していたのを知っていたのに、改善措置を取らなかったとしている。

　西宮労働基準監督署は２３年６月、死亡直前の１カ月間の時間外労働は２０７時間を超え、約１００日間の連続勤務があったとして労災認定。同年１２月、労働基準法違反容疑で甲南会と院長らを書類送検した。