「君臣並耕」こそ政治の基本 真の賢者は人民とともに耕作し、雑用をいとわず <細川護熙さんエッセー>
私は湯河原の自宅と、軽井沢の山荘の近くに、わずかばかりの畑を持っていますが、土いじりほど人の心を豊かにしてくれるものはないとつくづく思います。自然の中に身を置くことで、学ぶべき事ばかりです。
私は高校時代から、陶淵明はじめ、王維、孟浩然、韋応物、柳宗元といった中国の自然派の詩人たちの詩に強く魅かれてきました。
六十歳になったら退隠・閑居暮らし、晴耕雨読の暮らしに入ろうと、そうずっと希[ねが]っていたのは、陶淵明の「園田の居に帰る」など、右に挙げた詩人たちの影響が大きかったからだと思います。
ヘルマン・ヘッセの『庭仕事の愉[たの]しみ』の中に「地面に膝をついて草むしりをするのは、礼拝のためにひたすら礼拝を行っているようなものです。そしてそれが永遠にくりかえされるのです。なぜなら三つか四つの畑をきれいにすると、最初の畑にはもう緑の草がはえているからです」(岡田朝雄訳)とありますが、まさしく六月から八月にかけて繁殖の時期の雑草は、眺めていて伸びるのがわかるのではないかと思うほどの勢いで、草引きは全く骨が折れます。
祖母は八十六歳で亡くなるまで、モンペ姿で草むしりや野菜の手入れに精を出していましたし、私もよく畑仕事を手伝わされていました。
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