【この人に聞く・熊本地震⑪】ボランティアネットワーク「オープンジャパン」副代表の肥田浩さん 地元との連携、留意点は? 「技術とノウハウを残す」
ボランティアネットワーク「オープンジャパン」(宮城県石巻市)は南阿蘇村を拠点に益城町、西原村で、地元社会福祉協議会と連携して被災者の生活再建支援に取り組んでいる。2012年7月の九州北部豪雨でも阿蘇入りするなど、豊富なボランティア経験を持つ肥田浩副代表(50)に、支援の現状やボランティア活動の注意点などについて聞いた。(福山聡一郎)
-これまでの活動を教えてください。
「重機操作の専門家や整体師など全国の30~40団体でネットワークを組み、東日本大震災や九州北部豪雨、広島市の土石流などの現地で活動してきた。熊本地震では、本震直後から、社協などを通じて要望を受け、炊き出しのほか、南阿蘇村を中心にがれきの中から自動車やトラクターなどを100台以上引き上げた。応急危険度判定で「赤」や「黄」とされ、社協ボランティアが立ち入らない建物から荷物を外に出す作業も行っている」
-熊本地震にはどんな特徴がありますか。
「広島市の土石流や鬼怒川の決壊などに比べて被災が広域といえる。津波や水害は水が引くと復旧作業が始められるが、今回は地割れや土砂崩落がひどく、なかなか作業が進まず厄介だ。農業や観光への影響を考えると、被害がさらに甚大になる恐れがある」
-梅雨入りし、新たな災害も懸念されます。今後のボランティア活動の注意点は。
「南阿蘇村では緩んだ土砂が、余震や雨で崩れる危険があり、細心の注意が必要だ。ボランティアの基本は自己責任。活動は安全確保が最優先だが、県外からの参加者は危険な場所や天候についての予備知識がない。私たちは九州北部豪雨では、地元の方から『山に雲がかかったから雨が降るバイ』などと教えてもらい、事前に撤退していた。こうした対策も重要だろう」
-地元の社協やボランティアとの連携で心掛けていることは。
「私たちはいずれここを離れる。培ってきたノウハウや技術を、中長期の支援を担う地元の皆さんに伝えたい。そのため、私たちが直接住民から依頼を受けた案件についても、その内容を社協に伝えている。民生委員など地元組織とボランティア団体が、互いの特性を知る『情報共有会議』が近く発足する。既に同種の組織ができている他の被災地同様に、より良い支援につながると思う」
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