【この人に聞く・熊本地震①】県建設業協会の橋口光徳会長 復旧復興、今後の課題は? 「地中の被害、未知の対応に」
県内に甚大な被害をもたらした熊本地震。応急復旧の後には、本格的な復旧復興も控える。工事の担い手となる県内建設業界の災害対応や今後の課題について、県建設業協会の橋口光徳会長に聞いた。(太路秀紀)
-発生直後の初期対応はいかがでしたか。
「4月16日の本震発生後は阿蘇方面への連絡もつきにくく、状況把握も困難だった。そんな中で国の初動は早かった。阿蘇へは国土交通省のチームが大分県の建設業者を連れて同県側から乗り込み、熊本県内の態勢が整うまで、重機を使った救助などに当たった」
「台風などの風水害であれば発生前に備えることもできるし、県内建設業界も対応経験がある。しかし、巨大地震は未経験。協会では現在、前震以降の本部や支部の対応を時系列にまとめている。冊子にして全国の協会に配るつもりだ」
-復旧復興工事が本格化すれば人手不足も懸念されます。
「地震がなくても建築分野で今後、人手不足が顕在化すると予測していた。震災対応で加速しそうだ。復興需要が出てくるのは、設計や測量を終えた来年以降。通常の公共事業に行政の手が回らない中、それを当てにしていた小規模業者の廃業が深刻化しないかも心配だ」
-被災地は工事量が膨大で、入札が成り立つのでしょうか。
「被害が集中した地域では、地元業者が仕事を受けきれずに入札が成立しない事態も懸念される。県内の公共事業に関しては長年、業界内に植えつけられた県地域振興局ごとの縄張り意識がある。しかし、今回のような災害では、オール熊本で対応しないと間に合わない。県は災害対応に限定した制度改革も考えてほしい」
-今後の課題は何でしょうか。
「震災では下水管やくいのように、地中の見えていない部分にも問題があるかもしれない。県内建設業界としても未知の対応だ。協会から6月初め、東日本大震災を経験した宮城県に人を派遣して、勉強させる予定だ」
「災害列島である日本では、公共事業費は国土保全費の意味も持つ。協会は復興に向けたスローガンを『歩み出そう未来へ』に決めた。業界一丸で復旧復興に取り組む覚悟だ」
◇
熊本地震の現状と今後について、各界のキーパーソンにインタビューする。
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