原城総攻撃 救いなき殺戮の戦場 <細川キリシタン群像/稲葉継陽⑫>

熊本日日新聞 2023年12月13日 06:05
戦功申告書の一例。寛永15年2月29日付で細川家の下級武士蜂須賀弥次兵衛が部隊長の筑紫大膳に提出したもの。二の丸で敵一人を討ち取ったが、「うち捨」(=切捨)の命令が出ていたので「はなを取」り(傍線部)、それはいまも手元にある、と記す(熊本大付属図書館所蔵松井家文書)

 寛永15(1638)年2月27日午後。原城二の丸の出丸に迫った佐賀鍋島勢と籠城する一揆勢とが、激しく撃ち合った。現在の暦では4月11日。春爛漫[らんまん]の青海を背景にして立つ古城を舞台に、総攻撃の幕がついに切って落とされた。  三の丸...

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