文化財の害虫、温風で駆除 関電、薬剤使わず安全に
![害虫駆除のため、断熱材に覆われた日光山輪王寺の重要文化財「護法天堂」=9月、栃木県日光市](/sites/default/files/images/newspack/2023-10PN2023100401001447.-.-.CI0003.jpg)
関西電力は、温風だけで木造文化財の害虫を駆除する新技術の全国展開に乗り出した。一般的な薬剤は使わない。建造物や木材を断熱材で覆い、サウナのように内部の温度や湿度を上げることで、文化財を傷めず安全に駆除できる。6月に着手した世界遺産の日光山輪王寺(栃木県日光市)を皮切りに、文化財の長期保存に向けた活用が広がりそうだ。
9月上旬、修繕で解体された輪王寺の重要文化財「護法天堂」は断熱材にすっぽりと覆われ、内部は温度60度、湿度89%に保たれていた。エアコンの室外機やヒーターを使い、木材を劣化させる「シバンムシ」の駆除に最適な状態を維持。数日で卵から成虫まで死滅する。関電の担当者は「温度や湿度がぶれないよう緻密に制御する」と説明した。
木造文化財の害虫駆除では従来、薬剤を含むガスによる処理が一般的だったが、環境や人体への悪影響が課題だった。関電は電気による加熱システムに知見を持ち、2019年に神戸市の実験施設で開発を始めた。東京文化財研究所や京大などと連携して実用化にこぎ着けた。
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