中学いじめ 泣き叫ぶ娘に母悲痛 転校決断、学校対応に不信感
熊本県北の中学1年の女子生徒が昨年、同級生からのいじめが原因で、2度も自らの命を絶とうとした。必死で止める40代の母親に「楽になりたい」と泣き叫んだ娘。母親は娘の命を守るため、仕事を辞め、寄り添い続けた。学校にいじめを訴えても、嫌がらせや会員制交流サイト(SNS)などによる誹謗[ひぼう]中傷はやまず、母娘は転校の道を選んだ。熊日の「SNSこちら編集局」に悲痛な体験を寄せた母親を訪ねた。
「キモい、近づくな、死ね」。母親によると、入学して間もない昨年5月ごろ、娘は複数の同級生に突然、中傷を受けるようになった。「知らない人からも『死ね』って言われた」。悲しそうに母親に打ち明けた。
明るく活発だった娘は次第に、ふさぎ込むようになった。「学校に行きたくないなら行かんでいいよ」と言っても、娘は「勉強が遅れるけん」と登校し続けた。夏休み明けごろには、同級生のSNSに、母娘に向けたような誹謗[ひぼう]中傷のメッセージが並んでいることを知った。
「傷つける人は何とも思わないけど 傷つけられた人はずっと残る」。そう自身のSNSに思いをつづった娘は昨年10月と12月、衝動的に首をつろうとしたり、ベランダから飛び降りようとしたりした。いずれも心配して一緒に寝ていた母親がなんとか制止した。「何があっても味方やけんね」と伝えると、娘は声を上げて泣いた。
学校には昨年7月ごろから何度も相談を重ねた。学校側は10月、関係する生徒への聞き取り結果を報告。一部の生徒が「悪口」を認めたという。しかし、その後も自転車のベルが壊されるなどの被害は続いた。
娘は学校を休みがちになり、今年1月、冬休み明けに登校すると、「何で来たん」の言葉が飛んできた。限界だった。娘は学校に行けなくなり、母親は別の中学校に転校させる決断をした。
「いじめ防止対策推進法」に基づく文部科学省のガイドラインでは、いじめにより転校した事案も「重大事態」に該当する。
地元の教育委員会は熊日の取材に対し、女子生徒へのいじめの事実を認め、「(初動対応で)被害生徒をフォローしていたが、足りない部分があった。重大事態と認識しており、本年度中に事実関係を整理し対応したい」とした。通っていた中学校は「教育委員会に一任している」と述べるにとどめた。
母親は学校側の対応に今も不信感をぬぐえずにいる。「身近にいじめがある現実を知ってほしい。被害を繰り返さないために徹底的に原因を究明し、明らかにしてほしい」と訴えた。(学校の疑問取材班)
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