埋められなかった心の”溝” ギャンブル依存症の男性(32) 自助グループGA熊本で「自身と向き合い、本来の自分取り戻す」【いま在る場所】

熊本日日新聞 2023年6月27日 05:00
ギャンブル依存症の自助グループ「GA熊本」のミーティング。ギャンブルにのめり込んだ過去を振り返り、苦しさと回復への希望を共有する=15日夜、熊本市東区
ギャンブル依存症の自助グループ「GA熊本」のミーティング。ギャンブルにのめり込んだ過去を振り返り、苦しさと回復への希望を共有する=15日夜、熊本市東区

 「ギャンブル依存症のテツヤ(仮名)です」。男性(32)が名乗ると、ほかの11人が「テツヤ」と声をそろえて名前を繰り返した。「あなたの話を聞いている」という意思表示だ。

 15日夜、熊本市東区の教会で開かれたギャンブル依存症の自助グループ「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)熊本」のミーティング。アノニマスとは匿名のことで、ミーティングでは重要な意味を持つ。テツヤも通称だ。

 「苦しくて、自殺を考え橋の上に一日中いた」「ギャンブルに対して本当に無力。思い通りに生きていけない」─。社会的な立場も家庭の役割も脱ぎ捨てた匿名の存在として、ギャンブルにとらわれる苦しさや自身の弱さを率直に語る参加者たち。依存症からの回復を望む気持ちを共有し、1人ではないことを確かめ合う。

 「ここは自分をさらけ出せる安全な場所。仲間と過ごすことで、ギャンブルをやめ続けられる」。テツヤはリラックスした表情で、〝仲間〟を見やった。

   ◇    ◇

 県南出身のテツヤがギャンブルにはまったのは18歳の時。母はネグレクト(養育放棄)の典型で、酒を飲んでは朝帰りをした。いつも酔っぱらい、まともに会話をした記憶もない。高校2年の時、母は蒸発し、その後借金の督促状が届いた。貧しさに耐えながら、アルバイトで学費を稼いで通信制高校を卒業した。

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