男女分業、偏見なくして  「自分らしく生きる」…家庭や職場、残る役割意識

熊本日日新聞 | 01月13日 12:00

子ども二人とくつろぐ藤井さん夫妻。朝食は夫の真宏さんが作り、妻の可さんは長女の世話をして早めに出勤するという=昨年12月中旬、熊本市中央区

 熊本市中央区のフォトグラファー藤井真宏さん(32)の一日は、家族の朝食作りから始まる。妻可[たか]さん(41)は医師で、小学1年の長女(6)の登校準備を手伝って午前7時半に出勤。真宏さんは長男(3)の保育園の送り迎えと洗濯をし、夕飯は可さんが担当する毎日だ。

 2人は可さんが社会人、真宏さんが大学4年の時に結婚。2人で家事を分担する「自然な流れ」がそのまま続いている。

 長女の出産後、真宏さんが仕事を入れない形で“育休”。長男が生まれると真宏さんは育児に追われ、“産後うつ”になったほどだという。可さんは「男性が家事をすることが多様性の表れというわけでもない。こうあるべきだと決めつけず、状況に応じて役割分担している」と言う。

 内閣府の昨年の調査によると、テレワークを経験した夫は、家事・育児の役割が増える傾向が判明。国も「男性版産休」の新設を決めるなど、男性が家庭で期待される役回りは変わりつつある。

 一方、性別分業意識はいまだ根強く、男性の育児休業取得率は7%どまり。世界経済フォーラムが2019年に公表した日本のジェンダー・ギャップ(男女格差)指数は、前年の110位から121位へと先進国最低の水準に後退した。

 こうした性別分業意識や男女格差につながる「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を改善する取り組みが広がっている。

 チェンジウェーブ(東京)は、キャリア構築などを阻む要因や偏見を認識させる研修ソフトを開発。例えばウェブ上に表示される「給料」という単語が、仕事と家庭のどちらに結び付くかを選択させ、その反応速度の違いでその人の偏見の強さを測定する。

 鈴木富貴執行役員は「女性活躍が叫ばれる一方で、仕事で失敗したら女性にリーダーは無理と言われるなど、理想と現実の乖離[かいり]が起きている」と指摘。「バイアスを認識し、崩していくことが大事だ」と強調する。

 西部ガス(福岡市)は19年度、マネジャーを対象にこの研修を実施。労政グループ担当部長の吉村雄大[たけひろ]さん(52)は「『結婚しているから残業は無理だろう』とか、ステレオタイプな思考パターンに陥りがち。研修で自分の考え方を見つめ直した」と振り返る。

 家庭や職場、学校などあらゆる場面で男らしさ、女らしさを求める風潮がいまだ残る日本社会。「よりよい社会の実現」には、性別役割を見直す意識改革が必要となる。

 一般社団法人「リーンイン東京」は19年、男性が職場などで感じる生きづらさに関する意識調査を実施。「デートで男性がお金を多く負担したり、女性をリードすべきという風潮」など、8割が「男性らしい行動」を求められる社会に生きづらさを抱えていた。

 同法人は「男だから、女だからという考え方を撤廃し、個人の多様性が認められる社会であるべきだ。全ての人がジェンダーの壁を乗り越え、『自分らしく』生きられる社会の実現を目指したい」と訴える。(福井一基、平澤碧惟)

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