杖立温泉、豪雨被害から復活 コロナ後見据え集客策も

熊本日日新聞 | 2021年02月05日 07:27

昨年7月の豪雨で被害を受け、宿泊客の受け入れを再開した米屋別荘の温泉と、館主の河津順也さん=小国町
昨年7月の豪雨で氾濫した杖立温泉街中心を流れる杖立川。流れ込んだ土砂の撤去作業が進んでいる

 昨年7月の熊本豪雨で大きな被害を受けた小国町の杖立温泉の老舗旅館「米屋別荘」が1月、半年ぶりに宿泊客の受け入れを始めた。これで杖立温泉の全ての旅館が営業を再開したことになる。温泉街は新型コロナウイルスによる観光客減に苦慮しているが、コロナ後を見据えた集客策にも取り掛かっている。

 同温泉は昨年7月6~8日にかけての豪雨で中心部を流れる杖立川が氾濫し、土砂崩れも発生。18軒の旅館のうち16軒が被害を受けた。1軒は後継者難で再開を断念したが、年末までにほとんどの旅館が宿泊の受け入れを再開。大量の土砂が流入した米屋別荘は被災後すぐに復旧作業に入り、昨年12月末に工事が完了した。

 館主の河津順也さん(48)は「お客さんの受け入れがようやくできるようになった。ボランティアで土砂撤去などを手伝ってくれた人たちに感謝したい」と喜ぶ。

 温泉観光協会によると、国の「Go To トラベル」が実施中の昨秋は、宿泊客は例年並みに戻っていたが、停止後は宿泊のキャンセルが相次いだという。さらに年明けに全旅館が再開した直後の1月14日には、県独自の緊急事態宣言も発令。客足は遠のいている。

 観光協会が2月6日に主催するeスポーツ大会も、観客を呼ばず、温泉会館を配信拠点にしたオンライン開催に切り替えた。観光協会は「復興をPRするいい機会だっただけに残念。ただ、配信を見た全国のeスポーツファンが、杖立温泉のことを知ってくれればありがたい」と前を向く。

 観光協会はコロナ禍が落ち着いた後を見据え、温泉街のハード面の整備を進めている。温泉の蒸気を活用した調理場「蒸し場」を1カ所新設するほか、街路灯の修繕や観光客向けの看板を設置。新しいパンフレットも作成する。杖立川も、昨年12月から国土交通省が土砂の撤去作業に着手し、年度内に終える予定だ。

 また、観光協会は昨年は開けなかった同温泉街の最大の呼び物「鯉のぼり祭り」の開催を目指している。杖立川にたくさんの鯉のぼりを飾る春の恒例行事で、観光協会長の権藤芳春さん(69)は「長年続けてきたイベントで、『今年は開いてほしい』という要望も多い。新型コロナの状況次第で判断するが、お客さんがいつでも戻れるように、春に向けておもてなしの準備を進める」と力を込めた。(木村馨一)

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