中高生の望まない妊娠 専門医「男性が当事者意識を」

熊本日日新聞 | 2021年03月04日 11:00

◇たばた・あい 福岡市出身、熊本大医学部卒。同大病院、飯塚病院(福岡県)などを経て、2007年、田畑こどもレディースクリニック副院長。14年、フォーシーズンズレディースクリニック開業。19年度から、熊本市教育委員会が中高生を対象に開く「いのちの大切さを考える講演会」の講師を務め、性教育に取り組んでいる。日本産婦人科学会専門医。53歳。

 中高生が望まない妊娠をしないために、何をどのように伝えるべきか。中高生向けに性教育講話をしている「フォーシーズンズレディースクリニック」(熊本市中央区)の田畑愛院長(産婦人科医)に聞いた。

 -講話ではどんな話をしていますか。

 「思春期の体の変化や月経の仕組み、性感染症など基本的な知識に加え、交際相手からの暴力(デートDV)など、男女交際で気を付けてほしいことを伝えている。生徒たちが『自分にとって身近な問題だ』と感じられるよう、分かりやすく具体的に話す」

 「強調したいのは、妊娠や出産が女性だけの問題ではないということだ。中学生向けの講演では、空港のトイレで産んだ新生児の遺体を遺棄したとして、女性が逮捕された事件を取り上げた。妊娠には男性が必ず関わっているのに、罪に問われない。どう思うかと問い掛けたら、みんな疑問に思ったようだ。男性が妊娠に関して当事者意識を持つように、意識して話している」

 -中高生の妊娠の現状をどう見ますか。

 「女性だけが思い悩み、中絶するか出産するかの決断と、身体的にも精神的にも大きな負担を強いられている。ジェンダー平等が叫ばれる今でも、その構造は変わらない。性暴力の末の妊娠も目立つ。性被害の事実を隠したいとの思いが先に立ち、泣き寝入りする被害者も見てきた」

 「若年での妊娠や出産は体に大きな負担がかかる。中絶するにしても、妊娠週数が進むほど出血量が多くなる。中絶手術の際、相手の男性にどうしてこうなったかを聞くと、『妊娠したとしてもおろせばいいと思った』『妊娠のことまで考えていなかった』という無責任な答えが返ってくる。現状を変えるには、男性へのアプローチが不可欠だ」

 -望まない妊娠を防ぐために、どんな取り組みが必要ですか。

 「現状に即した性教育を続け、正しい知識を教えることだ。中高生が、自分の力だけで子どもを産み育てることはできない。責任を持って子どもを養育できない間は性交しないことも強調している」

 「避妊の方法を具体的に教えることも重要だ。避妊は、男性だけがするものではない。私は“女性主導”の避妊方法として、低用量ピルの服用を勧めている。性感染症予防のため、ピルを飲んでいたとしてもコンドームは必須だ」

 「中学生にもなれば、セックスがどんなものか知っている。学校の授業より、アダルトビデオやSNSの情報が先行するため、性は『いやらしいこと』というイメージが定着してしまう。大人にも性教育について抵抗がある人は少なくないが、性教育は人権につながる大事なこと。社会全体がそういう意識を持ってほしい」(深川杏樹)

 ◆予期せぬ妊娠に関する相談窓口▽慈恵病院TEL0120(783)449=24時間受け付け▽熊本乳児院TEL080(9068)7528=24時間受け付け▽県女性相談センターTEL096(381)4340=受け付けは月~土曜の午前9時~午後8時。

 福田病院と関連クリニックが設けている中高生の妊娠相談窓口▽福田病院TEL096(322)2995▽まつばせレディースクリニックTEL0964(34)0303▽菊陽レディースクリニックTEL096(213)5656▽ソフィアレディースクリニック水道町TEL096(322)2996。受け付けはいずれも午前9時~午後5時(日曜・祝日を除く)。

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