〝最強の城〟 熊本城 ここがスゴい! 石原良純さん「スケールに感動 『懐の深さ』も魅力です」/千田嘉博さん「文武両道の清正だからこそ築けた名城」 <特別対談>
城郭考古学者として日本中のお城を調査研究する千田嘉博・奈良大教授と、芸能界きってのお城好きとして知られる俳優・気象予報士の石原良純さんがオンラインで対談、熊本城の魅力について語り合いました。
(聞き手は宮下和也・熊本日日新聞編集委員室長)
―熊本城のどこに一番惹(ひ)かれますか。
■石原 私は、お城とマラソンが好きで、仕事で訪れた都市にお城があれば、仕事の合間に走って見学しています。かつて熊本へ来た時も城下町から熊本城を目指して走り、城内を巡りました。夏の暑い日でしたが、二の丸広場の大きなクスノキまで走り、寝転がり、横を見れば天守が見えました。「何て気持ちが良いところだろう」と感激しました。お城のスケール感と保存状態の素晴らしさは、間違いなく日本三大名城だと思います。
■千田 私も同じです。熊本城は石垣が素晴らしく、堀は深く、規模がとても大きいお城です。初めて熊本城を訪れたのは大学生の時でしたが、これほどのお城が日本にあることに感動したことを今でもはっきりと覚えています。熊本城は日本を代表するお城の一つといえます。
―熊本城は昨年、テレビ番組で「最強の城」に選ばれました。その強さの秘密は何でしょうか。
■千田 まずは石垣です。これほどの高さの石垣を何重にも巡らせ、幾重にも折れ曲がった防衛に優れた通路を取り入れたお城は、この時代の最先端。また、この頃のお城では真っすぐに積み上げる石垣が一般的ですが、熊本城は扇形に積み上げており、力学的にも安定した構造になっています。扇形の形状は一見、敵が侵入しやすそうな形ですが、裾野が広がっていることで上から敵の姿が認識しやすく、防衛しやすい利点があります。
また、以前にタレントのタモリさんの番組で指摘された「やりすぎのお城」というのも強さの秘密です。大天守、小天守、さらに5階建ての櫓(やぐら)が複数あり、他の地域の城に比べ圧倒的なスケールです。加藤清正が究極のお城を造ろうとしたことが分かります。細川家が丁寧に維持して、大変良い状態で残っていることも熊本城の強さを証明しています。
■石原 私は「懐の深さ」だと思います。それを最も感じたのは、先ほど話した二の丸広場へ行った時。石垣や塀など、いろいろなところに城としての懐の深さを感じ、「なるほど。これは(西南戦争で)西郷軍が落とせなかったわけだ」と思いました。
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