バレーも仕事も…フォレスト選手奮闘 介護や看護の勤務後に練習「周囲に感謝」【ほっとライン×S編】

熊本日日新聞 | 2022年11月10日 09:52

 バレーボールの国内リーグ、Vリーグ。「フォレストリーヴズ熊本」は女子2部(V2)に参戦する。実業団クラブが多いVリーグだが、フォレストリーヴズは親会社を持たない市民クラブ。選手たちは入団後、スポンサーの病院や介護施設で働きながら、練習や試合に臨む。厳しい環境に身を置くが、「バレーボールが好き」「勝ちたい」という気持ちを原動力に奮闘する選手の素顔に迫った。(枝村美咲)

練習に励むフォレストリーヴズ熊本の選手ら=熊本市中央区の同市総合体育館
利用者と笑顔で話す入江彩水選手=熊本市南区の田迎ケアセンター

 「これは耳につけましょうね」。熊本市南区の東病院に併設された介護老人保健施設「田迎ケアセンター」から、よく通るハスキーな声が聞こえてきた。入江彩水[あやみ]選手(22)が、補聴器が外れてしまった女性に優しく声をかけながら、装着を介助していた。補聴器を付け終わると、女性は「ありがとう」と入江選手にほほ笑んだ。

 昨季のチーム総得点の約2割に当たる134点を挙げたエース入江選手は、午前8時から午後5時まで介護職員として働く。競技を続ける大変さはあるが、「バレーが好きだから頑張れるし、応援を身近に感じてモチベーションになる」と笑顔を見せる。

 東和子施設長(60)は「懸命に働く姿から他の職員も刺激をもらっている」と喜ぶ。入江選手自身も「ケアするには利用者の変化に気づくことが必要。仲間の調子に気づくことが大切なバレーにつながる」と前向きに仕事に取り組む。

 練習にほぼ専念できる実業団チームと異なり、フォレストリーヴズの練習は平日の火曜、水曜、木曜の午後6~9時だけ。試合がない土曜、日曜は朝から夕方までみっちり行う。

 10月19日の水曜日。日が暮れた午後6時、勤務を終えた選手たちが熊本市中央区の市総合体育館に集まり始めた。各自でテーピングやストレッチをして、メンバーがそろうとレシーブや実戦練習で汗を流す。

入院患者の生活記録を打ち込む岡田楓奈選手=熊本市北区の熊本機能病院
洗髪を終え、患者のベッドを移動させる萩原透海選手=熊本市中央区の熊本整形外科病院

 今年入団したリベロの岡田楓奈[ふうな]選手(22)は、看護助手として働く同市北区の熊本機能病院での仕事を終えて、駆け付けた。大学4年間、「高校でやり切った」と競技を離れ、バレーボールを趣味で続けていた。しかし、「高いレベルで戦いたい」との思いが沸き上がり、入団を決意した。平日の練習が終わり、帰宅するのは午後10時過ぎ。翌朝は普段通り出勤するが、「きついときもある。でも、もっとうまくなりたい」。

 今季から主将を務める萩原透海[ゆきみ]選手(24)は同市中央区の熊本整形外科病院に勤務して3年目。看護助手として、患者の生活介助や備品整理をしている。今年からチームの新人3人も採用され、職場でも先輩になった。「自分の仕事だけでなく、周囲にも目を配るようになった」と成長を感じていた。備品をてきぱきと棚に収納する様子はもうベテランの仕事ぶりだ。

 コートで勇ましく戦う姿と変わり、勤務先では患者や施設利用者に優しく寄り添う。萩原選手は「みんなバレーを続けたくて入団した。環境に感謝しているから、仕事も頑張れる」と話す。

 チームは不戦勝を除き、2季連続で試合での勝利がない。それだけに選手たちは「自分のためにも職場のためにも必ず勝ちたい」(萩原選手)と意気込む。今季初戦は5日。支えてくれる人への感謝の気持ちを胸に白星を目指す。

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