「よく分かる」TSMC新工場
半導体の製造に特化した「ファウンドリー」の世界最大手が、台湾・新竹に本社を置く台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company=TSMC)です。1987年設立で世界シェアは5割超。最先端の技術を持ち、日本のソニーグループ、米国のアップルなど多くのメーカーを顧客に持っています。
半導体はあらゆる分野に不可欠で「産業のコメ」と呼ばれます。デジタル化の進展や電気自動車(EV)の普及などで、長期的に需要が増えると予測されています。日本政府は半導体を国内で安定的に調達できるようにするため、日本での投資を促す法整備に動き、TSMCは熊本県菊陽町への進出を決めました。中国、米国に次ぐ3カ国目の海外工場となります。
2024年2月に開所した第1工場と、24年末に隣接地に着工する第2工場を合わせ、投資額は3兆円規模で日本政府が約1兆2千億円を補助します。合わせて3400人以上の雇用を見込んでいます。第1工場は24年末に量産を開始する予定で、第2工場は27年末までの稼働開始を計画しています。
TSMC進出に伴い、関連する企業が続々と熊本への進出や設備増強を表明しています。菊陽町周辺では土地需要が高まり地価が上昇。今後の大きな経済波及効果が期待されています。
一方、工場では多量の水を使うことから地下水への影響を心配する声や、交通渋滞悪化の懸念も出ています。人手不足が深刻化しており、人材の確保・育成が大きな課題となっています。
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