「麦わら一味」勢ぞろい ワンピース像 観光活性化、災害伝承に一役【ほっとライン×S編】
熊本日日新聞 | 2022年9月3日 18:13
「熊本の人気スポットに、俺たちはなる!」-。 熊本地震の復興支援を目的に県が進めてきた人気漫画「ONEPIECE(ワンピース)」のキャラクター像の設置が終わり、主人公ルフィら海賊団「麦わらの一味」10体がそろった。一目見ようと県内外のファンらが訪れており、県や銅像のある市町村は観光活性化の“旗手”としての役割に期待している。

「海へと続く道」として有名な宇土市の長部田[ながべた]海床路。設置事業の最後の1体となった操舵[そうだ]手ジンベエの像は7月下旬、海床路のある住吉海岸公園で除幕され、大勢のファンが詰めかけた。福岡市から家族4人で訪れた福浦聖隆さん(25)は「像を見たのは初めてだが、いずれは全部を巡りたい」と笑顔。市は直売所の設置など公園の観光地化も検討している。
ワンピースは世界の累計発行部数が5億1千万部を超える大ベストセラー。その人気にあやかり、県は熊本市出身の作者・尾田栄一郎さんの協力を得て像の設置を進めてきた。「地震で被災したヒノ国(熊本県)の困り事を解決する」という設定で、2018年11月の県庁のルフィ像を皮切りに、希望した被災地の3市4町2村に建てられた。
「銅像は地震の記憶の継承に一役買っている」と言うのは、南阿蘇村の震災遺構・旧東海大阿蘇キャンパスで語り部をする安岡龍彦さん(75)。昨年10月に考古学者ロビンの像ができてから団体客が急増。1カ月間にかつてのピーク時の3倍超にあたる9千人が訪れたこともあったという。
ロビンはあらゆる場所で手を花のように咲かせる能力の持ち主。銅像の周りのプランターには学生が実習で栽培している花が咲き、物語の世界観を再現する。「ちょっとした演出で来場者と会話が弾む」と安岡さん。宮崎市の中村祐輔さん(23)は「ロビン像が目当てだったが、目の前の遺構を見て被害の大きさを知ることができた」と話す。
益城町でも教育旅行を受け入れているNPO法人が災害学習に興味を持ってもらおうと、震災遺構近くにあるコックのサンジ像を子どもたちに紹介している。
県は、勢ぞろいした「麦わらの一味」を見てもらうことで観光客らの回遊性を高め、各地に経済効果を波及させたい考え。出版元の集英社(東京)とグッズや土産品に関するガイドラインを作成中だ。
ガイドラインにはワンピース像を巡るツアーに震災遺構や他の観光地も組み込むよう促す方針。県観光交流政策課は「像の見学をきっかけに、地震からの復興の様子も見てほしい」としている。(小山智史、池田祐介)










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