夏休みの自由研究、楽しく有意義に 〝こだわり〟テーマ…継続の取り組みも

熊本日日新聞 | 2022年8月7日 13:40

 夏休みの宿題の定番「自由研究」。「何にしようか」と頭を悩ませたり、「面倒くさいなぁ」と思ったりしている小中学生も多いことだろう。楽しく有意義に自由研究をするにはどうすればいいのか。昨年の県科学展(県科学研究物展示会)で賞を取った2人に聞いた。

アサガオの研究を続ける鹿北中3年の中島とあさん。毎年約200株を育てている=山鹿市

■「アサガオ」実験に力、欠かさず観察 中島とあさん(鹿北中3年)

 鹿北中(山鹿市)3年の中島とあさんは「朝顔の研究パート8 新しい朝顔の誕生まで②」で、昨年の県科学展県知事賞を受賞した。小学1年の時に始めたアサガオの研究をずっと続けている。特に「なぜ一つの種から、多彩な花が咲くのか」という謎に強い興味があり、毎年、アサガオ約200株を育てている。

 毎年5月に種を植え、8~9月に花が咲き終わるまで毎日、朝と夕方を中心に1~2時間観察する。たくさん花が付くように、授粉作業も欠かさない。小学生の時は「日なたと日陰による成長の違い」などを調べた。「花のしぼんでいく時間」の研究では、花の色が濃いほど、しぼむ時刻が遅くなることが分かった。

 中学になってからは、アサガオに興味を抱くきっかけになった「多彩な花が咲く謎」にたち返り、交配の実験に力を注いでいる。

 県知事賞の昨年の研究は、200株のアサガオの葉とつぼみ、花への成長過程を写真と文字で記録。その“親”に当たる雌しべと雄しべの花の写真も添付して色を比較し、変異の有無を観察した。「交配で簡単に新しい色の花を咲くと思っていたが、そうではなかった」。新しい色が生まれる条件は何なのか。「アサガオを育てていると次々に分からないことが出てきて新しい発見がある。だから自由研究はやめられない」(樋口琢郎)

ナメクジを観察する容器の横に観察ノートや集めたデータを広げる塩田想君。手に持つのはナメクジの観察スケッチ=熊本市中央区

■「ナメクジ」何度も調査、詳しく記録 塩田想君(出水小5年)

 「ぼくの新発見! ナメクジ君の秘密パート2」で、昨年の県科学展県教育委員会賞を受賞したのは出水小(熊本市)5年の塩田想君(11)。ナメクジは日本の在来種がキュウリ、外来種はレタスと種類で好みが違うことや食べものでふんの色が変化することなどを突き止めた。

 塩田君は3年時からナメクジの研究を続ける。家庭菜園をしている母親がナメクジ被害に困っていたことで着目。祖母に「ナメクジはビール酵母のにおいが好きで、庭に在来種もいる」と聞き、がぜん興味が湧いた。さまざまな場所にビールを置いて観察。日陰のジメジメした場所のビールにナメクジが集まったことなどを「パート1」の研究にまとめ、自由研究にした。

 4年時の研究は「パート1」の続き。種類による食物の好みを知るために、同じ種類の30匹を入れた容器に野菜や麺、菓子など60種以上を4種類ずつ置き、食い付いているナメクジの数を調査。偶然性を減らすため複数回調べた。食物とふんの色の研究では3カ月間、同じ野菜や加工食品を与え、記録をつけた。

「分からないことが分かるようになるのが楽しい」と塩田君。研究手法に悩むと、学校の教諭や博物館の学芸員に相談している。「記録を付けてまとめるのは大変。だけどやり遂げたときはとても達成感がある」(伊藤恩希)

■日常の「?」をテーマに 熊本博物館・清水稔学芸員に聞く

 「県科学展」で審査員を務め、子どもたちに自由研究に関する助言もする熊本博物館の清水稔学芸員に、どのような研究が評価されるのか聞いた。(聞き手・河北希)

   ◇    ◇

 本やインターネットで得たネタはつまらない。日常で子どもが抱く「あれって何?」「どういうこと?」という素朴な疑問や興味を研究対象にしてほしい。

 ちなみに大人が主導した研究は、すぐに分かる。大人は自発的に考えることを促し、ヒントを与える役割を担ってほしい。

 理科の自由研究に取り組むことで科学的な考え方を養うことができる。研究の一つの手法は「比較」。似た二つのものを比べ、同じ点や違う点が見えると、そこに疑問が湧く。その答えを導くために調査や観察、実験を進めるとよい。個体差がある動物や植物の研究は、複数のデータを取って平均化することが大事。得た結果が何を意味するのかを考察することに最も時間をかけてほしい。

 本来研究は、腰を据えてやるもの。ここで紹介されたアサガオとナメクジの研究も、数年にわたる観察がベース。もちろん一夏で良い結果が出る研究もたくさんあるが、長く興味関心を持ち、継続して取り組んだものは豊富な知見やデータがあることで、一歩進んだ疑問が浮かびやすい。(談)

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