最賃上げ幅30円、熊本県内で評価二分 労働側「生活保障に不十分」、経営側「中小企業は厳しい」

熊本日日新聞 | 2022年8月3日 06:35

2022年度の最賃審議を始めた熊本地方最低賃金審議会=7月7日、熊本市西区

 2022年度の最低賃金(最賃)について、中央最低賃金審議会は2日、全国平均で過去最大の31円を引き上げる目安額を正式決定した。3日以降、熊本県内の最賃審議が本格化する。急激な物価高を受け、労働者側は「最低限の生活を守れるのか」、経営者側は「中小企業には厳しい」と目安への評価は分かれた。

 県内の引き上げ目安額は30円。目安通りに議論がまとまれば、県内の最賃は時給851円となるが、全国平均とは依然として100円以上の開きがある。

 連合熊本の山本寛事務局長は「目安は過去最大の引き上げ幅となったが、十分とは言えない。物価上昇が今後も見込まれるのに、最低限保障すべき労働者の生活水準を守れるのか」と疑問を投げかけた。

 情報労連県協議会の西村辰明事務局長は「評価できる面はあるが、賃金の高い大都市圏との格差は縮まっておらず、人材が流れるのではないか。政令市のある県にふさわしい最賃になってほしい」と求めた。

 県内では、台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出をはじめ半導体関連産業で明るい見通しがある一方、新型コロナウイルス禍や原材料高、熊本豪雨の影響で、経営に不安を抱える企業も少なくない。

 県商工会連合会の原悟専務理事は「物価が上昇している中、ある程度の引き上げは受け入れなければならない」と理解を示しながらも、「特に中小企業では30円の引き上げは厳しい」と重く受け止めた。

 県経営者協会の岩永秀則専務理事も引き上げ自体には賛同した上で、「上げ幅の根拠を精査したい。経営状況が厳しい企業には、さらなる打撃。労使間でしっかり議論する必要がある」と強調した。

 熊本地方最低賃金審議会は、8月中に引き上げ幅を決め、熊本労働局長に答申する。22年度の最賃は10月に適用される予定。(中原功一朗、山本文子)

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