脱炭素、もっと政治で議論深めて 気候変動、若者に危機感 政策提言や要請行動も

熊本日日新聞 | 2022年7月8日 07:00

フェアトレード商品や植物由来の洗剤など環境に優しい商品が並ぶ「ナチュラブル」=合志市

 「気候変動は将来の生活に影響する問題。政治できちんと議論してほしい」

 参院選を前に熊日が実施した「SNSこちら編集局」のアンケートにこんな声が寄せられた。猛暑や自然災害など地球規模の課題を、足元からどう考えたらいいのか。

 熊本県合志市の住宅街にあるカフェ兼生活雑貨店「ナチュラブル」。33平方メートルの店内には、間伐材で作ったノートやオーガニックコットン、有機野菜などが所狭しと並ぶ。

 人や環境に配慮した消費行動を指す「倫理的消費」(エシカル消費)に関心が集まる中、同店の来店客数は右肩上がり。オーナーの園田恭子さん(53)は「新型コロナウイルス禍や物価高などをきっかけに、『持続可能』を重視する人が増えた」と話す。

 気候変動をもたらす温室効果ガスの大幅な削減は世界共通の課題だ。昨年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は文書で、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える決意を示した。

 日本は、菅政権が2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%減、50年に実質ゼロとする方針を表明。これを引き継ぐ岸田政権には、成長戦略の柱に掲げる「脱炭素」の道筋が問われている。

 エネルギー政策は、参院選で各党が公約の柱に掲げる。再生エネルギーの拡大ではおおむね一致するが、原発の存廃では「即時ゼロ」から、「最大限の活用」「推進」まで立場が分かれる。二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭火力発電所の輸出を訴える党もある。

日本版気候若者会議から提言書を受け取る山口壮環境相(左から2人目)。右端は天草高の濵﨑鴻さん=6月15日、環境省(同高提供)

 「実質ゼロ」まであと約30年。脱炭素に向けた対策の実効性が見えない中、次世代を担う若者たちは危機感を募らせる。ロビー団体の「日本若者協議会」は3~4月、全国の39歳以下の100人が気候変動対策を話し合う「日本版気候若者会議」を開いた。

 会議では「国の対策はまだまだ具体性がなく、国民の意識も高いとは言えない」と指摘。プラスチック容器包装製品の流通規制や議論の場「気候市民会議」設置などの政策提言をまとめ、政府や各党、経済界に働きかけた。

 天草高3年の濵﨑鴻さん(18)は「政府に直接提言したい」と会議に参加した一人。所属する科学部での研究を基に、海の生物多様性の劣化を問題提起し、「環境保全を進める人材やノウハウが不足している」と環境教育の重要性を訴えた。

 濵﨑さんは山口壮環境相への要請行動にも参加。「興味を持って初めて行動につながる」と強調する。政党や候補者には「目先だけでなく、長期的な対策も目を向けてほしい」と注文。参院選では、環境分野など教育政策全般に注目する。

 行動は足元でも。大学生らで作る市民団体「フライデーズ・フォー・フューチャージャパン」は、火力発電事業の中止や市民会議の設置などを環境省に提言。県内のメンバーは4月、熊本市中央区の白川河川敷でプラスチックごみなどを清掃し、交流サイト(SNS)で「環境を大事に考えることがクール(格好いい)という文化を作りたい」と若者らへ活動参加を呼びかけた。

 県ユニセフ協会(熊本市)も毎年、環境や教育問題などをテーマに議論の場を設け、高校生らの社会参加を促してきた。保田清美事務局長は「この先どんな世界にしたいのか。将来を担うというマインドを持った若者を育てたい」。未来を変える若者の一歩に期待している。(深川杏樹)

フェアトレード商品や植物由来の洗剤など環境に優しい商品が並ぶ「ナチュラブル」=合志市

ランキング

イベント情報