犬猫の迷子なくそう 個体識別番号、チップ義務化 飼育放棄防止も期待

熊本日日新聞 | 2022年6月23日 19:00

マイクロチップが埋め込まれたチワワに読み取り機をかざすと、15桁の識別番号が表示された=熊本市中央区の竜之介動物病院(識別番号はぼかしています)

 ペットショップなどで販売される犬と猫にマイクロチップ装着を義務付ける改正動物愛護管理法が6月、施行された。災害などで行方不明になっても、チップ内に記録された15桁の識別番号から飼い主を特定し、元に戻しやすくする。ペットの〝住民票〟として活用し、安易な飼育放棄を防ぐ効果も期待される。

 熊本市中央区の「ペットサロンエムズ」。店内では子犬や子猫がおもちゃで遊んだり、ゆっくり休んだりしながら、新たな家族を待っていた。外見はこれまでと変わらないが、体内にはチップが装着されている。

 チップは直径約2ミリ、長さ約1センチの円筒形の電子機器で、獣医師が首周辺の皮下に埋め込む。専用の読み取り機をかざすと番号が表示され、国のデータベースに照会して飼い主などが分かる仕組みだ。ただ、衛星利用測位システム(GPS)の機能はなく、ペットの居場所を追跡することはできない。

犬や猫への装着が義務化されたマイクロチップと注入するための注射器

 費用は数千円~1万円程度。装着義務は販売店やブリーダーら業者側にあり、罰則規定もある。同店の森智惠代表は「店側の手間は増えたが、ペットや飼い主のためになる制度」と理解を示す。

 飼い主は購入後、名前や住所、電話番号などをデータベースに登録する。費用はオンライン申請が300円、郵送申請は千円。引っ越しやペットが死んだ時も届け出が必要で、店側は購入者が必ず登録をするよう促しているという。

 義務化の対象は新たに販売されるペットたち。施行前から飼われている犬や猫への装着は努力義務になっている。同区の竜之介動物病院では新規の装着も受け付けており、德田竜之介院長は「予防接種などで来院した飼い主には勧めているが、相談を受けることも増えてきた」と話す。

德田竜之介院長

 2016年の熊本地震では犬や猫が逃げ出し、そのまま飼い主の元に戻らなかったケースが多発。德田院長は「チップは人間で言えば住民票のようなもので、1匹1匹を識別できるようになる意義は大きい。ペットが社会の一員として認められる中で、装着は世界的な流れ。飼い主にも責任を持って飼ってもらいたい」と強調する。

 一方、体内にチップを埋め込むことに抵抗がある飼い主も少なくない。保護犬を引き取り、一緒に暮らしている氷川町の内薗静代さん(72)は「ワクチンでアレルギー反応が出たことがあった。体内に異物を入れるのは怖い」と今のところ装着は考えていない。德田院長は「まれにアレルギー反応が起きる可能性は考えられるが、異変があれば取り外すこともできる。重大な健康被害を恐れる必要はない」と理解を求める。

 環境省によると、迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られた犬と猫は20年度、約7万2千匹に上り、県内でも犬1123匹、猫483匹が保健所などに引き取られた。

 熊本市動物愛護センター(東区)では4年前から、保護された犬や猫を市民へ譲渡する際、一部の猫についてはチップを装着して渡している。県も譲渡前の装着を検討していく方針で、動物保護に当たる県健康危機管理課は「保護した犬や猫にチップが装着されているケースはまだ少ない。飼い主による装着が進むよう、周知していく」としている。(園田琢磨)

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