「危険な通学路」解消遠く 道路整備が難航…児童数1・8倍に急増、校長「常に心配」 熊本市・城南町
熊本日日新聞 | 2022年5月30日 08:00

熊本市南区城南町の男性(72)が「車が多い狭い道を子どもたちが登校しているので心配です」と熊日に声を寄せた。SNSこちら編集局(S編)の取材班が調べると、合併前から続く道路整備計画が難航する間に、近くの小学校に通う児童数が急増しているという実情が浮かんだ。
熊本市中心部から南へ約12キロ、一帯には農地とともに新興の住宅街も広がる。5月20日午前7時40分、城南町宮地の真教寺近くを通る幅員5~6メートルほどの一車線の市道を、隈庄[くまのしょう]小の児童が一列で登校していた。
そこに、対面通行する車2台が接近。児童らが肩を寄せ合って端へ身を寄せると、児童から遠い方の車が路側帯に入り込んで対向車に道を譲った。児童の列は20分間断続的に連なり、通勤途中と思われる車が次々と横を通過していった。
毎日児童を誘導する近くの岩下盛起[もりき]さん(79)は「特に雨の日は傘を差すので危険な状況が生まれている」と話す。この場所は昨年、千葉県八街[やちまた]市でのトラック突っ込み事故を受けて熊本県警などが実施した通学路の合同点検でも危険箇所に指定されている。

熊本市道路整備課などによると、旧城南町時代の1989年に周辺の幹線街路となる都市計画道路「パイン通り線」の整備計画に着手。98年に都市計画決定され、熊本市に合併後の2017年に事業認可された。代表幅員は12メートル以上16メートル未満と広い。ただ、地権者との用地交渉が難航し、今も計約420メートルが未整備のままだ。
そのため狭い市道が通学路として利用されている。一方、国道266号に接続する一部整備済みのパイン通りには次々に車が流れ込み、朝夕の車の通行量は多い。
隈庄小の児童数は周辺の区画整理後に増え続けている。10年前の2012年度は478人だったが、22年度は843人と約1・8倍に増えた。「狭い通学路」は約250人の児童が利用している。樋口聖一郎校長は「今まで事故が起きていないのが幸いだが、常に心配している」と話す。
県警にも昨年、国道266号と交わる交差点の安全確保を求める声が複数回、寄せられた。以前は国道を横断した児童の列がつかえて、信号が赤になっても車道にあふれる状況もあったという。信号の点灯時間を変更したことで〝児童の渋滞〟は解消したが、県警交通規制課の担当者は「今後も周辺の交通状況を注視する必要がある」と話す。
市道路整備課は「完了時期は未定だが、引き続き整備を急ぎたい」としている。(岡本遼)
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