悪女のこだわり「魅力的に」 舞台「お勢、断行」6月福岡公演 倉科カナに聞く

熊本日日新聞 | 2022年05月16日 10:30

2年越しの舞台「お勢、断行」で主役を務める倉科カナ(Ⓒ田中亜紀)
希代の悪女・お勢を熱演する倉科カナ(左)と、資産家の娘・晶を演じる福本莉子(撮影・細野晋司)
舞台「お勢、断行」の東京公演の様子(撮影・細野晋司)

 江戸川乱歩の怪奇小説に登場する希代の悪女「お勢」を原案にした倉持裕作演出の舞台「お勢、断行」が6月16日、福岡市民会館(同市中央区)で上演される。お勢を演じるのは、熊本市出身の倉科カナ。倉科は「悪の哲学や美学を持っていて、クレバーだが何を考えているのか分からず、目を離せない女性。そんなお勢を魅力的に演じたい」と意気込む。

 大正末期、女流作家のお勢(倉科)は、資産家・松成千代𠮷の屋敷に身を寄せていた。屋敷には千代吉の娘(福本莉子)と後妻(大空ゆうひ)、女中(江口のりこ)も暮らす。ある日、千代吉に屈辱を受けた代議士(梶原善)は千代吉の後妻と、松成家の財産を全て奪う計画を企てる。精神科病院長(正名僕蔵)や貧しい電灯工事夫(堀井新太)らを巻き込み、首尾よく進むかに思えた計画だが、第一の殺人が起き…。

 乱歩の「お勢登場」の主人公を、別の欲望渦巻く場所で活躍させたいと、倉持が書き下ろした新作。善悪を巡り、登場人物の立場も目まぐるしく替わっていく。

 当初は2020年2~3月の公演を予定していたが、コロナ禍で開幕2日前に中止になった作品だ。1カ月稽古に打ち込んだが、舞台に立ったのはゲネプロ(舞台稽古)のみ。倉科は当時を振り返り「信じられない気持ちが大きかった。行き場のない悔しさがあふれ落ち込んだ」と振り返る。

 しかし2年という時間は、役の再解釈にもつながった。「孤独に生きてきたお勢が、資産家の娘とのつながりを求める。2年前は感じなかった、お勢のこだわりや感情に気付いた」

 キャストを2人入れ替え、2年越しに実現した舞台は、個性豊かな俳優陣が脇を固める。「みんながもう一度やりたいと言ってくれ、2年ぶりに集まることができた」と喜ぶ。

 大正末期から昭和初期を時代背景に、モダンで美しい和洋の衣装や舞台装置で乱歩の迷宮世界を再現。斎藤ネコの独創的な音楽が、舞台に奥行きを生み出す。

 故郷に近い福岡での公演に「上京して随分たつが、熊本愛は変わらない。同郷の人に会えるだけでパワーがもらえるので、ぜひ遊びに来てほしい」とほほ笑んだ。

 午後7時開演。S席9500円、A席7500円、学生席5千円(要学生証)。未就学児入場不可。スリーオクロック☎092(732)1688。(鬼束実里)

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