熊日出版文化賞3点決まる 熊本ジャーナリズム賞、マイブック賞も

第46回熊日出版文化賞の本選考会が21日、熊本市中央区のホテル日航熊本であり、熊日出版文化賞3点と熊本ジャーナリズム賞、自費出版物が対象のマイブック賞を決めた。
出版文化賞の「阿蘇神社 熊本地震からの復旧に見るその姿」は、阿蘇神社(阿蘇市)の権禰宜[ごんねぎ]・池浦秀隆さん(53)と文化財建造物保存技術協会の大川畑博文さん(55)=福岡県、優和コンサルティング(熊本市)が復旧の様子を記録。選考委員は「希代の事業を読みやすくまとめた。写真の配置などに品性がある」と高く評価した。
「Feel good Amakusa」は天草市が発行したエッセー集で、吉本ばななさんら天草ゆかりの33人の寄稿や歴史などを編んだ。「天草をいろいろな切り口で紹介し、宝箱のような本。エッセーの筆者も充実しており、読み応えがある」と称賛された。
「熊本のたから 放牛石仏図鑑」は、放牛石仏を守る会事務局長の正田吉男さん(83)=熊本市=が、江戸時代の僧・放牛が作った全石仏のデータを網羅。石仏に彫られた歌から建立の意義を考察しており「丹念に回って調べている。先人の研究の上に新たな視点を加えた」と評価を受けた。
熊本ジャーナリズム賞の「僧侶が起つ-八代 郡築小作争議を主導した男・田辺義道-」は、元熊日記者の荒牧邦三さん(77)=熊本市=が争議の全容と僧侶の奮闘を描いたノンフィクション。「文献を掘り起こし、争議の経緯を伝えた。裏付けや根拠もしっかりしている」と好評だった。
マイブック賞の「道中風景絵巻~百十八景・今昔~」は、八代史談会会員の柏田忠さん(81)=八代市=が、江戸に向かう八代城主の松井家当主に同行した絵師が描いた場所を訪れ、現代と比較した紀行。「江戸後期の風景と現在の写真など多くの情報が散りばめられ、時間と空間をつないでいる」と評価された。
熊日出版文化賞は熊本県内の優れた出版物を毎年顕彰。今回は2024年に刊行された約70点の中から候補作18点を1次選考で選んだ。(前田晃志、澤本麻里子、山本遼、坂本尚志)
本選考の委員は次の通り。(敬称略)▽幸田亮一(熊本学園大商学部教授)▽松木良介(グラフィックデザイナー)▽岡本智伸(東海大農学部教授)▽木下優子(熊本県立図書館主幹)▽島津義昭(肥後考古学会長)▽井上佳子(長崎県立大国際社会学部教授)▽清田幸子(熊日論説委員長)
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熊本市出身。早回しの歌に乗せた形態模写やデフォルメの効いた顔まねでデビューして45年。声帯模写も身に付けてコンサートや座長公演、ドラマなど活躍の場は限りなく、「五木ロボ」といった唯一無二の芸を世に送り続ける“ものまね界のレジェンド”です。その芸の奥義と半生を「ものまね道」と題して語ります。