五木村の旧中心部「10年に1回水没」 川辺川の流水型ダム貯水で国交省試算

熊本日日新聞 | 2022年04月11日 21:06

川辺川の下流側から見下ろした五木村中心部の水没予定地。中央付近に並ぶ建物が「渓流ヴィラITSUKI」=10日、五木村

 国土交通省は10日、熊本県の球磨川支流・川辺川に治水専用の流水型ダムが完成し、洪水に備えてゲートを閉めて貯水した場合、10年に1回以上の頻度で、旧川辺川ダム計画で水没予定地とされたダム上流の五木村中心部が水没するとのシミュレーション結果を明らかにした。流水型ダム建設による水没の程度を示したのは初めて。

 旧ダム計画上の水没予定地にあった住宅や公共施設の大半は、既に代替地へ移転した。旧ダム計画が2009年に事実上中止された後、水没予定地に振興策として宿泊施設「渓流ヴィラITSUKI」や、公園「五木源[ごきげん]パーク」が整備された。

 国交省川辺川ダム砂防事務所は、1953~2020年に球磨川流域で起きた202回の洪水時に流水型ダムがあったと仮定し、雨量などのデータを基に水没予定地への影響をシミュレーションした。

 その結果、1年に1回以上の規模の洪水では、貯水による影響はなかった。2年に1回以上の規模では、村中心部の下流に整備されたシイタケ生産団地が水没した。5年に1回以上では、村中心部の一部が漬かった。

 10年に1回以上の規模になると、川辺川からやや離れた五木源パーク以外、渓流ヴィラITSUKIなど村中心部はほぼ水没した。15年に1回以上になると、五木源パークを含む全域が水没した。

 国交省と県は10日、五木村で説明会を開き、住民ら約100人にシミュレーション結果を示した。

 流水型ダムは、20年の熊本豪雨で氾濫した球磨川の治水策として、旧ダム計画と同じ相良村四浦の峡谷に建設を計画する。平常時は水をためずにダム堤下部の放流口から川の水を流し、下流の洪水を防ぐ際はゲートを閉めて貯水する。

 高さ107・5メートル、総貯水容量約1億3千万トンで、治水専用ダムでは国内最大級。国交省は環境影響評価(アセスメント)などを経て27年度に本体着工し、35年度の完成を見込んでいる。(中村勝洋)

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