新ダム、従来計画地に 川辺川流水型で国方針

熊本日日新聞 | 2021年12月04日 10:14

 昨年7月の熊本豪雨災害を受け、国土交通省が球磨川支流の川辺川に計画する治水専用の流水型ダムについて、建設場所を従来の川辺川ダム計画と同じ熊本県相良村四浦の峡谷とする方針を固めたことが3日、関係者への取材で分かった。上流にある五木村に大きな影響が及ぶため、蒲島郁夫知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が7日、両村を訪問して新ダム計画の概要を説明する。

 複数の関係者によると、新たな流水型ダムの規模は地形などの条件から川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水容量1億3300万トン)と同程度とする方向で検討中。完成すれば、治水専用ダムとしては建設中を含めて国内最大級となる。

 従来の川辺川ダムは貯水型の多目的ダムで、容量のうち梅雨から夏場の大雨に備える洪水調節用に8400万トン、農業や発電の利水用に2200万トン、土砂の堆積に2700万トンを割り当てる計画だった。

 新たなダムは治水専用で、不要になった利水容量を洪水調節に使える。平時は川の流れをせき止めないため堆砂容量も少なくて済み、川辺川ダムと同程度の規模でもより大きな治水能力を持つ。

 国は、従来の建設予定地が「地質や集水面積の大きさから適切な場所」(学識者懇談会)なのに加え、既に道路などの関連工事も進み、工期の短縮や費用の圧縮にもつながるとみている。

 ただ、地元の五木村と相良村は長年ダム問題に翻弄[ほんろう]され、特に水没予定地を抱える五木村は川辺川ダム計画が事実上中止になって以降、「ダムなしの村づくり」を進めてきた経緯がある。このため県と九州地方整備局は再びダム計画を進めるに当たり、まずトップが足を運んで直接理解を求める必要があると判断した。

 蒲島知事は球磨川の大水害を受けて2020年11月、環境負荷が少ないとされる流水型ダムの建設容認を表明。08年に川辺川ダム計画を「白紙撤回」した政治判断を転換した。その後、国や県、地元市町村は川辺川の新たなダムを対策の柱とする「流域治水プロジェクト」を今年3月に策定した。(流水型ダム取材班)

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