チッソ創業者建造の国文化財 曾木発電所遺構が大雨で被災 鹿児島県など復旧検討

熊本日日新聞 | 2021年09月28日 16:11

今年7月の大雨でれんが造りの壁が崩れるなどした「曾木発電所遺構」(国交省鶴田ダム管理所提供)
被災する前の曾木発電所遺構(国交省鶴田ダム管理所提供)

 水俣病の原因企業チッソの出発点となった曾木電気が明治期に建設し、国登録有形文化財となった「曾木発電所遺構」(鹿児島県伊佐市)が今年7月の大雨で被災し、管理する国土交通省が10月中旬をめどに鹿児島県や市と委員会を設置し、復旧方法や費用について協議することになった。

 国交省鶴田ダム管理所(鹿児島県さつま町)によると、遺構は1909(明治42)年、チッソの創業者・野口遵[したがう]が近くの金鉱山に電力を供給するために建造した水力発電所。余剰電力は隣接する水俣市のカーバイド工場に送り、この工場が後にチッソ水俣工場となった。

 66年に鶴田ダムが完成すると、遺構は水没。現在は大雨に備えてダム湖の水位を下げる5~9月にだけ姿を見せ、観光スポットとなっている。90年代、文化遺産の保存と観光資源としての活用を求める地元の声が高まったのを受け、国交省は2004~10年に遺構を補修している。

 7月10日の大雨で被災したのは、遺構のれんが造りの壁。南側が高さ約7・4メートル、幅約30メートル、北側は最も高い所で約4メートル、幅約30メートルにわたって崩れた。ダム管理所は、大雨でダム湖の水かさが増し、湖底付近の水圧が大きくなったことが影響したとみている。

 国交省は復元に向け、崩れた個々のれんががどの位置に積まれていたとみられるのか記録する作業を9月に実施。ダム管理所は「委員会では、地元のNPO法人や学識者も交えて検討していく」としている。(山本文子)

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