球磨川治水策「流水型ダム、市房ダム改良、遊水地」の3項目 国、熊本県が提示  

熊本日日新聞 | 2020年12月23日 09:55

 7月豪雨で氾濫した球磨川の治水対策について、国土交通省と熊本県は18日の流域12市町村との協議会で、支流・川辺川への流水型ダム建設や遊水地整備、県営市房ダム(水上村)改良など「流域治水プロジェクト」で取り組むハード対策6項目の方向性を初めて提示した。国、県、市町村で今後、具体的に検討を進め、年度内に合意を目指す考えだ。

 協議会では、球磨川に雨が流れ込む「集水域」と「河川区域」、市街地などの「氾濫域」でそれぞれ対策を総動員し、中長期的に7月豪雨クラスに対応する目標を設定。流水型ダム以外のハード対策は、過去の「ダムによらない」治水協議などで積み上げた議論をベースとした。

 中でも今回、国や県が「速やかに基礎調査に着手する」と位置付けたのが、遊水地と市房ダム改良、流水型ダムの三つだ。

 河川から水を流入させて一時的にためる遊水地は、補償とセットで農地にためる「地役権補償方式」と、用地買収して地盤を下げる「掘り込み方式」の組み合わせを想定。7月豪雨で被害が出た人吉市街地より上流で効率的に洪水調節するために、勾配が比較的緩やかな場所を中心に営農状況を考慮して候補地を探す。

 市房ダムについては、現在も一定の洪水調節機能があるが、新たに放流口を増設して大雨前に確保できる貯水容量を増やす計画。下流の負荷を減らすため、最大放流量を毎秒650トンから400トンに引き下げる運用変更も検討する。

 蒲島郁夫知事が川辺川への建設を要請した流水型ダムは、国が放流量を調節できるゲート付き構造を提案したが、「規模や位置は検討中」とした。

 このほか、川幅の拡幅で堤防を陸地側に移す引堤は、球磨村渡-人吉市の一部区間で「川に突出した箇所のみ河岸拡幅を実施する」と明記。中流部や人吉地区が対象となる河床掘削については、自然環境やラフティングなどの利活用にも配慮し「最大限掘削する」とした。流水型ダムから下流の川辺川では、築堤や堤防のかさ上げも想定した。

 一方、これらの対策案を全て実施しても、7月豪雨クラスでは球磨村など一部の中流域で堤防を越水する試算が示された。このため、球磨村や八代市坂本町では対策実施後の水位を想定した宅地のかさ上げや、集落を堤防で囲む輪中堤整備を進める。

 ただ、「ダムによらない」治水策は10年以上取りまとめに至らず、どの対策を採用するかで流域市町村の利害対立もあった。県球磨川流域復興局は「今回は流水型ダム建設の方向性と水害再発の危機感を、市町村と共有できている。流域治水プロジェクト策定に向け、遊水地選定や市房ダム改良などできる作業から進める」としている。(高宗亮輔)

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