体育遅刻を大声で叱責​ 熊本市の中学校 生徒、恐怖で一時登校できず

熊本日日新聞 | 2021年5月11日 12:09

 熊本市立の中学校で4月中旬、入学したばかりの1年生の体育の授業で、集合に遅れた生徒がいたため体育教諭が怒鳴って連帯責任を取らせる指導を繰り返し、そのショックから翌日登校できなくなった生徒が出る事態が起きた。保護者たちは「まるで軍隊」と不信感を募らせている。

 保護者と同校によると、授業は2クラス合同で生徒約70人が体育館2階に集合した。しかし多くの生徒が遅刻したため、20代の男性教諭が大声で叱責[しっせき]。全員に体育服から制服に着替え直し、教室から5分以内に集まるよう指示した。

 教室は校舎3階。生徒の一人は「前もって説明があれば休み時間に準備できたと思う。段取りも分からないまま大声で怒鳴られた。すごく怖かった」。やり直しの指示は2度あったという。

 この授業は特別支援学級の生徒も一緒。聴覚に敏感な生徒が強いショックを受け、翌日は登校できなかった。この生徒の保護者によると、夜中に授業の記憶がフラッシュバックして叫ぶことがあるという。

 同校の教頭は、この体育教諭が1年生の全クラスに同様の指導をしていた事実を認め、「体育は生徒全体を動かす場面があり、迅速な行動をするのは大事だと指導する狙いがあった。しかし今回は丁寧な説明がなく、配慮も足りなかった」と釈明。一時登校できなくなった生徒と保護者に謝罪したという。

 熊本市教育委員会の橋爪富二雄教育審議員は「自主性を重んじる教育が求められる中、頭ごなしに型にはめる指導は好ましくない」との見解。今後、学校に改善を求める。

 熊日の「SNSこちら編集局」に情報を寄せた保護者は「こんな軍隊のような授業が続けば、自分で命を落とす生徒が出てもおかしくない。こんな教育を許してはいけない」と話した。(臼杵大介)

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