PTA入会「意思確認は?」 あいまいな線引き 加入率低下に懸念も

熊本日日新聞 | 2021年05月10日 11:00

熊本市教育委員会が市立小中学校の校長にPTAの任意性の周知などを求めた文書。加入の有無に関係なく児童生徒に対応することも要請した

 学校と連携して子どものために活動するPTAについて「入会の意思確認が必要ではないか」との声が熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられている。熊本市ではPTA入会をめぐる訴訟も起きたが、入会の意思確認についてはあいまいなままだ。ただ意思確認を先進的に進める現場には、加入率の低下への懸念もある。

 S編に意見を寄せた熊本市の女性(49)は、子どもが今春卒業した小学校で、PTAの会費納入をもって入会の意思確認とされたことに疑問を感じた。「意思を伝える機会がなく、強制的に入会させられたようで嫌だった」と話す。

 入会の意思確認については、熊本市の男性が2014年、PTAに会費返還などを求めた訴訟で争点の一つになった。17年に福岡高裁で成立した和解条項には、入退会自由な任意団体であることの周知や、保護者が知らないままに入会させられたり、退会を不当に妨げられたりしないように努めることなどが明記されたが、入会の意思確認に関する文言は盛り込まれなかった。

 こうした中、熊本市教育委員会は今年3月末、各学校長に任意性の周知や、加入の有無に関係なく児童生徒に平等に対応することなどを要請した。ただ「運営に関わることはPTAの判断」として、入会届などでの意思確認の必要性には触れていない。

 同市でも入会の意思確認に個別に取り組むPTAが徐々に増えている。本年度から入会申込書を取り入れた市立小PTAの入会案内には、会費で支える主な活動を紹介し、非加入世帯の児童もPTA行事に参加できることも記された。

 「任意と説明しながら、全員加入を前提にした運営のあり方に矛盾を感じていた」とPTAの男性会長(44)は説明する。
 弁護士の後藤富和さん(52)=福岡市=も、任意性の周知や不加入の手続きを伝えることは「最低限必要な対応」と指摘。自身もPTA会長の経験があり、入会届などの意思確認は「任意団体のPTAとして『あるべき姿』」と強調する。

 滋賀県の大津市教委は18年秋、入会届の取得を“理想的な対応”とする「PTA運営の手引き」を各学校長らに配布。加入の任意性を説明していない場合、違法性を問われる可能性があることなどを明記した。

 同市のPTA加入率は、18年6月時点で55小中学校のうち43校が100%だったのが、手引き配布後の20年2月時点では26校に減少。90%台は12校から22校に増え、50%未満も1校になるなど加入率が低下した。同教委は「PTAは学校運営に必要不可欠。今後どうしていくか一緒に考えたい」としている。

 前出の入会申込書を導入した熊本市立小学校のPTAでは、100%だった加入率が、導入後は90%弱になったという。会長は「すべての保護者の理解を得るのは難しいだろうが、説明を尽くし、イメージだけで非加入を選ぶ人は減らしたい。同時に『参加できる人だけでできる活動』への見直しも進めたい」と話した。(原大祐、澤本麻里子)

 ■PTA任意加入、小中学校の3割周知せず 熊本市教委調査 

 熊本市教育委員会が昨年8月、市立小中学校に実施したPTAに関する調査では、約3割の学校が保護者に任意加入を周知していなかった。

 市教委によると、入会が任意であることを周知していた学校は134校のうち94校、知らせていなかったのは40校だった。

 住所や名前などの個人情報をPTAに提供している学校は97校。このうち保護者から同意を得ているのは29校にとどまり、書面で確認していたのは16校のみだった。

 この結果を受けて市教委は今年3月末、各学校長に任意性の周知を改めて要請。個人情報をPTAに提供する場合は、保護者の同意を得るなど適切な対応を取るよう求めた。(澤本麻里子)

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