業者頼らずバンガロー再建 熊本豪雨で被災の南小国町のキャンプ場

熊本日日新聞 | 2021年04月26日 11:24

再開を目指す「山鳥の森オートキャンプ場」のバンガローを組み立てた井聡也さん(右)と三舛正順さん=南小国町
南小国町が所有する大型木工3D切削器

 昨年7月の豪雨で被災し、今夏の営業再開を目指す熊本県南小国町満願寺の「山鳥の森オートキャンプ場」。全壊したバンガロー3棟は、3次元(3D)の図面を基に木材を加工し、プラモデルのように組み立てる工法で再建する。水回りや内装など一部の工事を除き、1棟が完成。専門知識がなくても簡単に建てられたため、災害時の建設型仮設住宅への応用も視野に入れる。

 豪雨では近くを流れる小田川が決壊。約1ヘクタールのキャンプ場敷地の半分近くが浸水し、ほぼ全ての施設が使えなくなった。

 被災後すぐに復旧作業に入った経営者の息子の井聡也さん(33)=同町=は「再建するバンガローに被災経験を生かしたい」と思い立った。大規模災害では仮設住宅の建設業者が不足する。そのため、業者の力を借りなくても組み立てられる建築方法を模索した。

 井さんは、木材を使った家具製造や建築に取り組む地域おこし協力隊員の三舛正順さん(27)=同町=に設計を依頼。三舛さんは町が保有する大型木工3D切削器で建材を加工し、現地で組み立てる工法を提案した。再建資金はインターネット上で支援を募るクラウドファンディング(CF)で664万円を集めた。

 3月下旬に1棟目の建設を開始。バンガローは1Kの平屋で約24平方メートル。3D切削器などで切り出した約千個の部品を組み上げた。柱や梁[はり]は使わず、壁や床など面で建物を支える工法を採用。壁は製材所で生産する床材で断熱材を挟み、約15センチの厚さにした。

 1棟目は初めてだったため、大工1人に協力してもらったが、それ以外は井さんや三舛さんら大工経験のない男女5人で作業。重機を使わず、組み立て開始から1週間ほどで棟上げした。井さんは「こんなに早くできるとは思わなかった。慣れれば工期は短くなり、業者も必要ない」と手応えを感じている。

 残りの2棟の組み立て作業は、CFの支援者にも参加を呼び掛け、5月上旬に着工する予定。3棟全て棟上げした後、水回りや内装などの工事に入る。基礎部分や電気配線など専門業者が必要な作業はあるが、「設計データと人手があれば、建物部分は自分たちで建てられることを証明できた」と三舛さん。

 費用は1棟約600万円。仮設住宅として利用するにはコスト面などの課題もあるが、この工法は仮設住宅に限らず、倉庫や小屋などにも応用可能。井さんは「木材価格が低迷する中、小国杉の活用に新たな可能性が広がるのではないか」と力を込めた。(木村馨一)

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