議会、川辺川ダム対応に不信 水没予定地・五木村と建設予定地・相良村

熊本日日新聞 | 2020年12月11日 07:40

流水型ダムに関する質問が相次いだ五木村議会の一般質問=10日、五木村役場

 川辺川ダムという国策に半世紀以上も翻弄[ほんろう]された水没予定地を抱える熊本県五木村と、建設予定地の相良村で10日、蒲島郁夫知事がダム推進へ方針転換を表明してから初の村議会一般質問があった。五木村では、知事の対応への不満と地域振興策の行方への不安が噴出。相良村では、ダム問題への対応の苦悩が浮き彫りになった。

 「謝罪に来たはずなのに、いきなり大金を積まれた。私は言葉を失った」。五木村の早田吉臣村議の言葉からは、知事への怒りと不信感がにじんだ。

 知事は11月23日、村を訪れて方針転換を陳謝した上で、県五木村振興基金の10億円増額を表明した。その時の様子を振り返りながら、「愚弄[ぐろう]されたとの思いはなかったのか」と木下丈二村長に見解を問う早田村議。木下村長は「要求もしていないのに金額の提示があり、驚いた」。ただ「村の振興には県の支援が必要」とも強調した。

 定数8の同村議会。5人が質問し、全員がダム問題に触れた。2008年の知事のダム計画の白紙撤回表明から12年後の方針転換。「ダムなし」で進んできた地域振興策が振りだしに戻る虚無感が、村議たちを駆り立てた。

 村がダムに振り回された経緯を切々と説いたのは、川辺川ダム本体の着工に同意した時に村長だった西村久徳村議。「村をこれ以上疲弊させてはならない。金だけで問題を解決して将来に禍根を残すことにならないよう、しっかり対応してほしい」とくぎを刺した。

 村議会は12月定例会後にダム対策調査特別委員会を開催し、対応を協議する。村議の一人は「村長はまだ村民の民意を測れていない。このまま流水型ダムが進むのかは、まだ分からない」と声をひそめた。

 一方、相良村の吉松啓一村長は、この日もダムへの賛否について明言を避けた。態度を明らかにするよう迫る西本巳喜男村議に対し、「村内が混乱する。村民が共通して求めているのは、河床掘削などのすぐにできる治水対策だ」とかたくなに回答を拒んだ。

 高岡重盛村議から、脱会していた「川辺川ダム建設促進協議会」に豪雨後の8月に村が再加入した経緯を問われると、吉松村長は「(豪雨でダム問題が再燃する前の)4月から加入を求めていた」と強調。同協議会はダム建設への協力を明らかにしているが、「国土交通省から治水関連の予算を確保するために加入が必要と考えた」と苦しい胸の内を吐露した。(隅川俊彦、小山智史)

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