教師の魅力伝えるはずが…過酷な実態訴え続々 「#教師のバトン」文科省SNSプロジェクト

熊本日日新聞 | 2021年04月11日 13:59

文部科学省「#教師のバトン」プロジェクトのホームページの画像と、ツイッターに投稿されたメッセージのコラージュ

 現職教員が会員制交流サイト(SNS)で学生らに向けて自由にメッセージを寄せる文部科学省の「#教師のバトン」プロジェクトが、教職の魅力を伝えたい企画意図とは裏腹に、過酷な勤務実態を訴える声が相次ぎ、“炎上”した。実際に投稿した熊本県内の女性教員に話を聞いた。

 「今から職業を選ぶならば、別の職を選んだ方がいい」。県内の小学校に勤務する女性教員(30代)は、「#教師のバトン」に、そんなツイートをした。ほかの人の投稿を見ても納得する内容ばかりが並んでいた。

 大学卒業後、複数の学校に勤務したが、仕事の持ち帰りは当たり前。多忙な業務が続き、一時期は療養を余儀なくされた。「友人たちの働き方と比べて、教員はなんてブラックな仕事なんだろう」と実感した。「今の学校は教員が無理して成り立っている。次の世代にバトンはつなぎたくない」というのが本音だった。

 3月26日に始まった企画は、業務改善の工夫、新しい教育の実践例、教師になった理由など前向きな投稿を想定していた。投稿に所属長の許可などは不要で、気軽に書き込めるよう配慮された。

 ところがスタート直後から「残業が100時間超えた」「同僚が過労死した」「やったこともない部活の顧問にさせられた」など教員らの過酷な実態ばかりが次々と投稿され、ツイッターで何万もの「いいね」が付く書き込みまで登場した。

 「充実した日々を送れる」などの当初想定された書き込みはわずかにとどまり、29日には文科省が「いただいたご意見を分析し、本質的な改革につなげたいと考えております」と釈明。さらに30日には、萩生田光一文科相が記者会見で「学校の厳しい勤務環境が明らかになった」と言及する事態となった。

 企画の応援団に名を連ねる熊本大教育学部の苫野一徳准教授(41)は「今まで現場について声をあげても無駄と思っていた教員も、匿名で声をあげやすかった」とマイナス意見が相次いだことも評価。その上で、「相次いだメッセージにどう対処していくか、これからの教育界の問題解決能力が問われている」と指摘した。(中村悠)

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