HIS、60億円を不適切受給 雇調金、子会社は虚偽申請
旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の矢田素史社長は27日、東京都内で記者会見し、連結子会社が雇用調整助成金(雇調金)約1億円を不正受給していたと発表した。休業に関し虚偽申請があった。自社の雇調金についても不適切な受給があったと東京労働局から認定され、子会社を含めた返還額は計約64億円に上るとしている。
矢田氏は不正受給について「心よりおわび申し上げる」と謝罪した。HISによると、新型コロナウイルス禍で業績が大幅に悪化し、不正に手を染めたとみられる。
子会社は「ナンバーワントラベル渋谷」(東京都大田区)。2020年3月から23年3月にかけ、企業が支払う休業手当の一部を国が補填する雇調金を不正に受給した。就労日に休業したと虚偽の申請書類を作成したという。子会社の社長は昨年12月に辞任した。
矢田氏は、自社の不適切受給に関しては、雇調金を申請した休業日に、社員が業務上のメールをしていた事例があったと紹介。制度の仕組みを正確に認識していなかったと釈明した。