靖国関連記事、共同通信が検証 他に誤りなく「再発防止へ徹底」
共同通信社は23日、自民党の生稲晃子参院議員(現外務政務官)が2022年8月15日に靖国神社を参拝したとする誤報配信を巡り、他の議員参拝など関連出稿の検証結果をまとめた。22年を挟む19~24年の6年間に記事化した国会議員は延べ144人で、生稲氏を除いた延べ143人について事実関係に誤りはなかった。
このうち、延べ19人については出稿の根拠となった自社取材メモなどは残っていなかった。今回、議員本人に聞くなどして間違いはなかったと確かめられたが、取材手法自体に問題がなかったとは言い切れない。有田司編集局長は「再発防止に向けて、取材プロセスを含めて読者に誠実な報道を徹底する」とした。
共同通信は靖国神社に極東国際軍事裁判(東京裁判)のA級戦犯が合祀されていることを踏まえ、首相、首相経験者、政務三役、自民党幹部らの参拝や真榊奉納、玉串料奉納を報じてきた。春季・秋季の例大祭、終戦の日に伴う関連記事に記載した延べ143人(生稲氏を除く)のうち、記事の根拠となった自社取材メモや出稿写真、資料が残っていたのは延べ124人だった。
自社取材メモは参拝した議員と共同通信記者のやりとりがほとんどだった。超党派の議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の発表を根拠としたケースもあった。
延べ19人についても、今回の検証で事後的な議員取材のほか、未出稿写真のチェックや、日本遺族会の記録などから参拝や奉納の事実関係に誤りがなかったことを裏付けた。
自社取材メモが見つからなかったのは、散逸や廃棄に加え、取材現場からの口頭報告を記録に残さず記事化した場合などが考えられる。しかし、生稲氏の誤報と同じように他社情報に依拠していた可能性は否定できない。共同通信は昨年12月に「情報の真偽の見極めや裏取りを尽くすのが記者の重要な使命」「取材は自社で完結することが原則」とした再発防止策を公表しており、引き続き全職員への周知徹底を図る。
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