日韓の寺、長崎仏像盗返還へ書簡 雨降り地固まるを引用し解決約束
【ソウル共同】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に渡った長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」を巡り、韓国で所有権を主張してきた忠清南道瑞山の浮石寺と観音寺が昨年12月にやりとりした書簡の内容が21日分かった。浮石寺は像の「法要」を行った後、5月前半に返還すると明記。観音寺は終了後の即時返還を条件に法要を承認した。双方がともに「雨降って地固まる」とのことわざを引用し、円満解決を約束した。
「雨降って地固まる」は日韓両国で使われており、関係の悪化と改善を表現する際にたびたび登場する。今年の両国国交正常化60年に向け、返還は象徴的な出来事となりそうだ。
浮石寺は2012年の盗難事件後、像は数百年前に倭寇に略奪されたとして所有権を主張したが、韓国最高裁が23年、観音寺の所有権を認めた。
浮石寺は、観音寺に宛てた昨年12月17日付の書簡で「仏教的な円満解決」として、像の安寧を願う法要の実施を要望。「韓国仏教徒の心を癒やし軽やかな気持ちで」返したいと伝えた。返還日程は「遅くとも5月11日まで」と明記した。