ベトナム、日本支援の地下鉄開業 同国初、10年遅れで
【ホーチミン共同】ベトナム最大都市、南部ホーチミンで22日、同国初となる地下鉄の区間を含む都市鉄道1号線が開業した。日本の円借款を活用したベトナムの国家的な重要プロジェクトとの位置付け。ただ行政手続きなどが滞って当初予定から約10年遅れとなり、両国間の経済協力に課題を積み残した。
総事業費は約44兆ドン(約2700億円)。1号線は市中心部と北東部の約20キロを約30分で結び、うち2キロ超が地下鉄区間だ。地下3駅と高架11駅がある。現金払いの場合、初乗り料金は7千ドン。
鉄道システムには日本の標準規格が採用され、車両は日立製作所の笠戸事業所(山口県下松市)で製造。住友商事や清水建設なども参画した。
外務省のグエン・ミン・ブー次官は開業式典で「渋滞が緩和され、生活が豊かになる。両国の協力の象徴だ」と称賛した。
一方、伊藤直樹駐ベトナム大使は煩雑な行政手続きなどによる工期の遅れや、日本企業への工事費支払い遅延を問題視。「外国企業がリスクとみなし、市場参画に尻込みする可能性がある」と述べた。