買収実現で基盤強化に期待 出版の名門、「情報産業」見方も
ソニーグループが買収を検討するKADOKAWAは、アニメや動画事業も収益源にするコンテンツ企業だ。名門出版社として歩んできたが、2014年にネット動画中継サイト「ニコニコ動画」で知られるドワンゴと経営統合。事業の多角化により業界では「出版社というより情報産業」との見方もある。
KADOKAWAは、角川歴彦前会長の父源義氏が、1945年に出版社の角川書店として創業した。後を継いだ歴彦氏の兄、春樹氏が映画と出版の「メディアミックス」を展開し、70~80年代に一世を風靡した。
歴彦氏が社長となった90年代以降は、ゲームやアニメ、若者向けのライトノベルといった事業を拡大。国内アニメ市場は拡大傾向が続く成長分野だが、クリエーターの不足や制作期間の長期化などが深刻だ。買収が実現すれば両社は経営資源を補い合う関係となり、基盤強化につながるとの期待がある。
懸念はKADOKAWAの経営状態だ。6月に動画中継サイトがサイバー攻撃でサービスを停止したと公表。従業員や、運営する学校法人の生徒の個人情報が外部に漏れた。